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Everything about X-ray Contrast Media

Everything about Contrast Media

X線造影剤これだけは知っておこう

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    推薦のことば

    九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野  本田 浩

     

    1895年、Röntgen先生によりX線が発見され、その翌年には切断された手の血管造影が、無機化合物の造影剤を用いて行われた。ヨード造影剤が使用され始めたのは1920年前後であり、人類がその恩恵を受けて100年近くが過ぎる。その恩恵に浴しているのは患者さんのみではない。CT、血管造影に代表されるように、画像診断はかなりの部分で血流情報診断であり、造影剤なしには今日の画像医療の進歩はありえなかったし、放射線科医の仕事も限られていたはずである。

    画像診断で当然のごとく使用されているヨード造影剤が、いったい何ものなのか、ぜひ知っておいていただきたい。造影剤を使用する放射線科医には、X線への知識と同様に、造影剤の化学的構造、物理的性質、副作用とその成因などを、常識として身につけておくことが求められる。そしてそのことが他科との差別化にもつながるはずである。

    さて、本書の著者であるHans H. Schild博士は、本書を『To see or not to see: Everything about Contrast Media』のタイトルで英語版として1994年に上梓し、世界中の放射線科医に造影剤の基礎を学ぶきっかけを提供した。2008年に英語版が改訂された際に、九州大学・西江昭弘先生の監修・翻訳の下、バイエル薬品が日本語版を発刊した。今回、英語版の再改訂に当たり、日本語版も改訂する運びとなった。監修・翻訳は今回も西江先生に担当いただいている。

    本書は造影剤を理解する上での入門書として、読み物のスタイルで書かれている。いつもながらユーモア溢れるSchild先生の書きぶりと、重要事項を逃さず盛り込まれた内容が、絶妙のバランスで配置されている。たいへん理解しやすく、一気に読破していただけるものと思う。

    読破後、目を閉じて内容を振り返っていただきたい。そこであなたの記憶に残っていること、それが造影剤に関してもっとも重要なことのはずである。

     

    日本語版監修者序文

    九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野  西江 昭弘

     

    画像診断は現在の診療には欠かせないものですが、近年の進歩は目覚ましいものがあります。

    例えばCTでは多列MDCTが一般的となり、形態に加えて機能の評価も可能となって来ました。同時に被曝低減技術が洗練され、患者ベースの視点からも技術開発が進んでいます。しかし、どんなに機器が進歩しても、造影剤がないと十分な診断ができないことには変わりありません。皆さんご存知のように、造影剤は重要な情報をもたらしてくれる一方で、重篤な副作用を引き起こすこともあります。日常診療では経験から反射的に対応している造影剤に関する諸々のこと、特別に気にしている方は少ないかもしれません。本当に詳しく理解した上で使用しているかと自らに問いても、やはり疑問符が付きます。Hans H. Schild先生が執筆された本書は、その疑問に全て答えてくれる、いわゆる造影剤の「バイブル」ではないかと思います。わかりやすく、平易な言葉で綴られており、ぜひこの機会に造影剤に関する知識をrefreshして頂けましたら幸いです。

    本書では、ヨード造影剤の臨床的な有用性というより、造影剤の基礎、その化学的・物理的特性やそれらがもたらす生体への影響等がわかりやすく解説されています。表現や例えにもユーモアがあり、読者を飽きさせません。これまで漠然と理解していたことも理論的に解釈できるため、スッキリした気持ちになります。今回は改訂版ですので、前回から新たな情報も盛り込まれています。なお、海外と本邦では適応に加えて造影剤の取扱いや規制が若干異なるところもあるため、気付いた点については「訳者注」として解説を追加しました。

    前回に引き続いて、改訂版の翻訳・監修を行う機会を与えて頂きましたが、改めて本書の素晴らしさを痛感しました。造影剤に関わる多くの方々にとって一読の価値があることを確信しています。

    原著:Hans H. Schild
    日本語監修:西江 昭弘