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ちょっと役立つ 造影検査に関する話題 -CT 編-

はじめに

 

近年の医療技術の向上と医療機器の開発ならびに普及はめざましく、ことに画像診断の進歩には目を見張るものがある。なかでもCTはその誕生から30年余しか経ていないものの、ヘリカルCTに引きつづきマルチスライスCTが登場したことで、臨床的に画像診断の主軸の一つに成長した。そして一連のCTの進歩に呼応するように、ヨード造影剤の使用頻度も増加傾向にある。

 一方、ITの普及や情報開示の浸透により医療を取り巻く環境は大きく変貌し、これまでの経験則に基づく医療体系から、十分なinformed consentとevidence based medicineに則った医療の提供が求められるようになった。したがって、CT検査におけるヨード造影剤の使用においても、客観的な根拠から適応を判断し、妥当かつ至適と思われる使用法により最大限の利益を得るのみならず、検査に伴うリスクを最小限に抑えることも要求されている。しかし、臨床におけるヨード造影剤の使用基準やリスクの回避法には、未だ曖昧で不明確な点も多く、不安を抱きつつ使用したり、対処法の可否を問われ答えに窮する場合もある。

 このような背景からCT検査における造影剤使用の判断が、施設ならびに担当医ごとに大きく変わらぬよう、臨床で遭遇するヨード造影剤使用に関する疑問点を具体的に整理・検討して概説し、日常診療での速戦的活用が可能なQ&A形式の小冊子「ちょっと役立つ造影検査に関する話題:CT編」を作成することとした。質問枝の選択は重要事項を落とすことなく拾い上げるよう努めたが、大切なことを失念している可能性もある。また解説はevidenceに基づき客観的に記載したが、controversialな点があることは否めない。何かお気づきの点があれば、本冊子を育てる上からも忌憚無いご意見を賜ればと考える。放射線科医を始めとする多くの医師、ならびに検査に際して重要な役割を担う放射線技師および看護師の方々にご活用いただくことで、安全な造影CT検査を行うことのお役に少しでも立てば幸いである。

 なお本冊子は早川克己先生、桑鶴良平先生、中島康雄先生のご指導および日本放射線科専門医会・医会の後援、ならびに(株)日本シエーリング〔現バイエル薬品(株)〕の協力があって完成することができた。この場をお借りして深謝いたす次第である。

 

日本医科大学 放射線医学教室

林 宏光

2006年12月