通常,成人1回6~10mLを導管より子宮腔内に注入する.なお,年齢,体重,撮影部位の大きさにより適宜増減する.
撮影タイミング | コメント | 造影剤量,時間 | |
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❶ 子宮・卵管陰影確認直後 | 腹腔陰影と重ならず卵管陰影 からの情報が得られる |
3~5mL程度 | |
❷ 腹腔内流入確認,拡散開始直後 | 卵管周囲の情報が得られる | 全量で10mL程度 | |
❸ 側面撮影 (注入終了後,子宮に造影剤が残存している間に撮影) |
子宮の位置関係,ダグラス窩の 状況の観察 |
ー | |
子宮内に残存する造影剤の吸引除去(可及的範囲) | |||
❹ 終末撮影 | 腹腔内での広がりをみる | (水溶性) 5~10分後 |
医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
蔵本 武志 先生
注入後像
両側卵管疎通性は良好,造影剤の拡散も良好である.
拡散像(注入後15分)
本例では,イソビスト®注300を用いた子宮卵管造影により,両側の卵管疎通性は良好で,造影剤の拡散も良好であることが確認できた.その後,タイミング5回目で妊娠.
医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
蔵本 武志 先生
注入後像
両側卵管疎通性は認めるも,左卵管は水腫様,右卵管は卵管采周囲癒着が疑われる.
拡散像(注入後15分)
15分後の拡散像で,左卵管は水腫様に造影剤が貯留したまま残っている.
本例で,イソビスト®注300を用いた子宮卵管造影を実施したが,両側卵管の状態は不良であったことから,ART*に進むことになった.顕微授精後の融解胚移植で妊娠.
*ART(Assisted Reproductive Technology;生殖補助医療技術)イソビスト®注300を用いた子宮卵管造影では本症例のように卵管采周囲の癒着等の所見が短時間で判定できるケースがあり,患者さんの検査負担の軽減につながる可能性がある
医療法人 小塙医院
小塙 清 先生
1回目撮影(投与30秒後)
卵管全体が描出され,一部,骨盤腔,卵管采への流出が見られる
2回目撮影(投与5分後)
左卵管の一部に造影剤が残存しているが,骨盤腔内全体への造影剤拡散が見られる.
不妊症患者に対する全身検査の一環として,イソビスト®注300を用いた子宮卵管造影検査を実施した.投与後5分の撮影で,腹腔内における造影剤拡散が認められ,両側の卵管が正常であることが確認できた. イソビスト®注300を用いた子宮卵管造影では,本症例のように骨盤腔内流出が短時間で判定できるケースがあり,患者さんの検査負担の軽減につながることがある
微細な所見見 | 1日で診断 |
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組織親和性が高いので,微細な所見が得られる | 拡散が速く1日で終末撮影まで行える |
残像がない | 低リスク |
吸収が速いため,長く造影剤の残像を残さない | 長期残留して肉芽腫や癒着を起こす心配がない 血管内に入っても塞栓を生じる恐れがない |
栃木武一: 日本産科婦人科学会埼玉地方部会誌 1992; 22(2): 260-264.より改変
1)Uzun O, et al. Respirology. 2004; 9(1): 134-136.
2)Lindequist S, et al. Radiology. 1994; 191(2): 513-517.
3)栃木武一: 日本産科婦人科学会埼玉地方部会誌 1992; 22(2): 260-264.