イオプロミド造影CT症例集
- 久留米大学 -
久留米大学医学部放射線医学教室
田上 秀一 先生 ⻑田 周治 先生 角 明子 先生 久原 麻子 先生 椿 史裕 先生
久木山 智子 先生 近末 智雅 先生 田上 利佳 先生 安陪 等思 先生
久留米大学病院放射線部
黑木 英郁 先生 東 純平 先生 鈴木 真 先生
総論
近年のCT検査の進歩の内,特筆すべきはdual energy CTとAIを活用した画像再構成であろう.近未来的にはphoton counting CTの臨床応用に期待が寄せられる.Dual energy CTで得られる仮想単色エックス線による定量的評価はエックス線による物質分別が臨床に応用できるとの期待を大きなものとした.造影CTをヨードイメージ,水イメージとして描画し,仮想単純CTを示現することも夢のような話に思えた.エリアディテクターと高速回転を活用した4次元画像も日常診療に組み込まれている.高分解能化も進めようと思えばどこまでも進むのだろう.楽しみでもあり,不安でもある.まだ到達できていないものは色や柔らかさ,そして匂いくらいだろう.いずれにしても情報量としては急速増大の一途であることは間違いない.その様に巨大化する情報量を処理する放射線科医が急に楽になるとは思えないが,Deep learningによる画像再構成は読影者の情報処理を容易にし,AIによる診断補助も特定の負担を減らしてくれるものとなろう.
CT装置の進化に併せて様々な投与プロトコルが開発,工夫されており本企画はその知識の共有を目的としている.当院のCT装置は全てGE Healthcare社製でDiscovery 750HD+VEO, Revolution CT, Revolution Apexの3台が使用されている.我々の活用例が皆様のお役に立つことができれば幸いである.また,忌憚のないご意見を賜ることができればと願っている.
最後に,CT検査の分野において,1980年代から進化が止まった様な状態となっているのがヨード造影剤ではないだろうか.人間は思い描いたものをいつかは実現化してきた.アレルギー反応の起きない造影剤,痛みのない投与法,臓器の色や硬さが分かる造影剤,病変別選択性を有する造影剤などなど.何か画期的なものが出てこないかと夢想し,期待している.
症例紹介
イオプロミド注「BYL」に関連する症例をご案内いたします。