イオプロミド造影CT症例集
- 岐阜大学 -

岐阜大学大学院医学系研究科生体管理医学講座
放射線科医学分野
松尾 政之 先生 加藤 博基 先生 金子 揚 先生 野田 佳史 先生 河合 信行 先生

岐阜大学医学部附属病院 放射線部
三好 利治 先生 井上 康弘 先生

総論

 CT検査における造影剤の有用性については今更多くを語る必要もないが,病変検出能の向上,質的診断,活動性出血の有無やその責任血管の同定等,急性期・慢性期疾患や,予定・緊急検査に関わらず日常臨床に広く,そして深く浸透している.逆に言えば様々な造影プロトコルが存在し,それらに適した造影剤の剤型選択も必要になってくる.特に昨今の造影CT検査は,低管電圧においても高管電流を印加できる大容量のX線管球の登場や, Dual-energy撮影技術等のハード面,逐次近似応用画像再構成法やDeep learning based image reconstructionによる画像再構成法等のソフト面での進化を受け,造影剤減量プロトコルも高いレベルで達成できるようになっている.
 今回紹介する症例はいずれもGE Healthcare社製 Discovery CT 750HDもしくはRevolution CT Apex Editionを用いて検査を行った画像である.岐阜大学医学部附属病院では,Revolution CTで行う躯幹部造影CT検査のほぼ全てをDual-energy撮影としている.低エネルギー帯(40 keV)での仮想単色X線画像を作成することで,造影効果の増強,病変の視認性向上が期待できる.さらに,必要であれば造影剤の減量も可能だ.しかし,造影剤減量プロトコルでは上腕静脈を含めたdead spaceに残存する造影剤量や希釈作用を最小限にとどめるため,中濃度造影剤を適切に使用するなど,注意すべき点もある.
 このように,使用するプロトコルやそれに準じた造影剤注入方法,さらには造影剤濃度によって個々の症例に応じた造影剤注入条件が決定される.この症例集に収載されている症例はイオプロミド注「BYL」を用いて検査されているが,本造影剤は後発品の扱いではあるもののRFIDタグを備え付けている.このRFIDタグにより製剤の基本情報は自動で造影剤注入器に反映され,また,患者の体格情報も放射線情報システムから造影剤注入器に反映することができるため,プロトコルの選択のみで自動的に造影剤注入速度や造影剤量が算出される.さらに,造影剤の使用期限やロット番号/シリアル番号の管理,患者のアレルギー歴や腎機能のチェック機構まで働くため,医療安全の面でも非常に有用である.様々なプロトコルが稼働している中,検査のスループットを損なうことなく,確実に検査を実施することができるのだ.本稿の内容が正確かつ適切な造影CT検査を行うための参考になれば幸いである.

症例紹介

イオプロミド注「BYL」に関連する症例をご案内いたします。

症例 イオプロミド注「BYL」

ダイナミック造影CTによる上顎洞器質化血腫(血瘤腫)の血流評価

岐阜大学
Discovery CT750 HD/GEヘルスケア・ジャパン
2022

症例イオプロミド注「BYL」

ダイナミック造影CTによる縦隔腫瘍の鑑別診断・血管浸潤の評価

岐阜大学
Discovery CT750 HD/GEヘルスケア・ジャパン
2022

症例イオプロミド注「BYL」

腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後のエンドリーク症例

岐阜大学
Revolution CT/GEヘルスケア・ジャパン
2022

症例イオプロミド注「BYL」

造影CTによる右乳癌治療後の遠隔転移評価

岐阜大学
Discovery CT750 HD/GEヘルスケア・ジャパン
2022