DO LESS. CARE MORE.
〜新たな造影CT検査の可能性を考える〜
環境
ヨードは供給量に限りがある天然資源だとご存じでしょうか?

昨今、持続可能な資源の利⽤が医療の未来にどのように寄与するかが議論されています。
医薬品や医療機器の開発には多くのエネルギーや資源が使⽤されることから、このテーマは産業界においても重要な課題です。
造影CT検査に使われるヨード造影剤の主原料であるヨウ素ですが、⽇本がヨウ素の主要産出国であることはあまり知られていません。
実は、世界のヨウ素産出の約1/4の8000トンが、千葉県の沖合、九⼗九⾥浜海岸周辺の南関東ガス⽥と呼ばれる地域で⽣産されています。
ヨウ素は海⽔や⼟壌にも含まれますが、濃度が低く、⽣産しても採算に合わない地域が殆どですが、南関東ガス⽥地帯のかん⽔と呼ばれる海⽔には、通常の海⽔の約2,000倍ものヨウ素が含まれているそうです。(1)
地球全体のヨウ素の資源量の約7割以上が埋蔵しているともいわれるヨウ素の資源⼤国、⽇本。(2)
ところがその採掘量は増えるどころか、減っていくとさえ懸念されています。その理由には、くみ上げの井⼾の⽼朽化によるくみ上げ量の減少、くみ上げ井⼾の新設に伴う環境負荷や、地下⽔をくみ上げることから近隣地域の地盤沈下のリスクなどがあり、くみ上げ量は県と厳しい協定下で管理されているからです。(3)
⼀⽅、世界のヨウ素産出の約6割を占めるチリでは、ヨウ素酸を含む鉱⽯から採取されています。
ワールドクラスの銅鉱床を持つチリでは、特にアンデス⼭脈に広がるアタカマ砂漠に多くの鉱⼭が集中しています。(4)
そしてこのアタカマ砂漠⼀帯は、年間降⽔量10mm/年以下の乾燥地帯ですが、この極端な条件で⽣き残るために適応した多様な植物や動物が⽣息する活気ある⽣息地でも知られます。(5)
この鉱⽯からヨウ素酸を溶かしてヨウ素を抽出しますが、溶かすための⼤量の⽔が必要になることから、硝⽯の採掘はこの地域の独特な⽣態系に⼤きな影響を与えるため、環境への負荷が懸念されています。
ヨード造影剤はヨウ素の使途の2割以上を占めるとされますが、医療技術の進歩や⾼齢化社会、慢性疾患の増加、医療アクセスの向上に伴い、その需要は今後も益々増加する⾒込みです。
このような状況において、Dual energy CTやフォトンカウンティングCTなど新しい技術の活⽤、⽣理⾷塩⽔フラッシュの活⽤やマルチペーシェントの活⽤による投与量・使⽤量の最適化が、ヨード造影剤の持続可能な活⽤につながると注⽬されています。(6)
欧州・北欧では、造影剤の残液回収プログラムが広がるなど(7)ここ⽇本においても、環境への配慮を取り⼊れた医療の発展を⽬指すことが求められているようです。

(画像:「千葉県の天然ガスとヨウ素」パンフレット天然ガス鉱業会 京葉天然ガス協議会 提供)
- 「千葉県の天然ガスとヨウ素」パンフレット 天然ガス鉱業会 京葉天然ガス協議会
- ⽇本にたくさんある資源って何だろう?それはヨウ素!! ヨウ素学会2020
- 千葉県環境⽣活部⽔質保全課地盤沈下対策班
https://www.pref.chiba.lg.jp/suiho/jibanchinka/torikumi/tennengus.html - https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fspas.2021.810426/full, accessed 17th May 2022
- Atacama Desert | One Earth, accessed 17th May 2022.
- Rengier F*: Thoughts on sustainability in the use of iodinated contrast media in CT: a practice-oriented review based on the example of a hospital and a private practice. Rofo. 2024; 196(8): 819-826.
- Rusandu A: Radiography (Lond). 2024; 30(5):1272-1276
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管理医療機器 / 多相電動式造影剤注入装置
販売名:Centargo CTインジェクションシステム
認証番号:302AABZX00091000
製造販売元:バイエル薬品株式会社