DO LESS. CARE MORE.
〜新たな造影CT検査の可能性を考える〜
Centargoを導⼊して1年半経過後の使⽤感について
ーこれまでやっていたことが、必要なくなったー
⾦沢医科⼤学病院



南 哲弥 先⽣
⾦沢医科⼤学
放射線科科⻑
放射線部部⻑

⻑⽥ 弘⼆ 先⽣
⾦沢医科⼤学病院
診療放射線技術部⾨
副技師⻑
看護師と診療放射線技師の役割
庵 技師 CT室担当の診療放射線技師(以下、技師)は各部屋に1⼈。撮影の他に、造影剤の準備/補充/検査情報管理/追加検査の電話対応を⾏なっている。ライン確保までが看護師の役割で、Centargoに繋ぐところから技師の役割になる。
松本 看護師長 看護師の役割は、血管確保/検査中の患者観察、アレルギー反応を予測しながら検査が終わるまで見守ること、その他の部屋の患者介助。さらに、検査後のラインを残す場合には、生理食塩水(以下、生食)で陽圧ロックをする役割がある。現在、この業務を1人で担当している。
南教授 看護師は、各CT室を跨いで複数業務を担当しており、こちらで造影したら、次の部屋で患者の介助など、様々な業務がある。移動して複数の部屋を見守りながら、多方面に注意を向けなければならない。

業務の変化について
⻑⽥ 副技師⻑ 従来のインジェクタとCentargoは、腹部ダイナミック検査時の腹部⼤動脈CT値、肝臓実質のCT値を⽐較しても遜⾊はない。しかし、検査効率や使い勝⼿で⽐較するとCentargoは、確かに業務効率、スループットが向上している。従来のシリンジ製剤を使⽤した場合は、Centargoより様々な作業、ひと⼿間かかっていることに気づいた
庵 技師 これまではシリンジ製剤と延⻑チューブをセットし、シリンジ製剤のエアを抜き、⾎管確保したルートに接続するなどの作業が必要あった。しかし、Centargoでは看護師がライン取り、⾃動でエア抜きされたCentargoの螺旋チューブに繋ぎ、本体の⽣⾷排出ボタンを押すことでエア抜きが終わる。今までは体重を確認した後、10数種類の中から、使⽤するシリンジ製剤を選択していた。しかし、その必要もない。始業時にセットした造影剤を終⽇連続使⽤するシステムであるため、⾼濃度造影剤を1つ選択するだけで良い。また、急にデュアルチューブを使った検査を⾏いたい場合や、急遽、⽣⾷で後押しをしたい場合でも、Centargoの場合はそのまま気にせず、時間のロスなく、⽣⾷の後押しや同時注⼊ができる。
舩本 看護師⻑ 看護師は、問診で体重などの情報が間違ってないかを確認し、その後にライン確保の準備をする。そのため、時間的に余裕がない。例えば、⼼臓検査の場合には、デュアルの延⻑チューブを準備する。その際、ルート内のエアを⼿動で抜く。当院では三⽅活栓を使⽤するため、どうしても接続部分にエアが溜まりやすい。その部分のエアを抜くのに⼿間がかかる。⽣⾷の⽤量も、検査の種類、⼩児か成⼈かによって異なり、さらに⽤意する物品も異なる。物品を1つ1つ確認してからの作業になる。しかし、Centargoの場合は、どのような検査においても短い50cmラインを作成するだけであるため、作業効率の差はとても⼤きいと感じられる。これらの要因によって、Centargoの導⼊後、CT室の看護師配置⼈数は2⼈から1⼈に低減できた。

インタビュー動画

庵 緋沙⼦ 先⽣
⾦沢医科⼤学病院
診療放射線技術部⾨ 主任

舩本 昌枝 先⽣
⾦沢医科⼤学病院
看護部 師⻑
造影CTにおける、看護師の1番重要な役割、責務
舩本 看護師⻑ 看護師は、1)造影CT検査のライン確保、2)造影CT検査中の患者観察、3)副作⽤が発⽣した場合の患者の初期対応が主な役割である。「過去に造影検査をしたことがあるから⼤丈夫」と⾔われる患者も多い。そのため、看護師は「アレルギー反応は、複数回⽬に突然起こる可能性がありますよ」と説明を⾏い、検査前後に⽔分を⼗分とるようにお願いしている。患者の中には、検査前は「絶⾷」と⾔われると、⽔分まで摂取されない⽅がおられる。その為、⽔分摂取は可能であることを患者に伝えている。さらに、同⽇に内視鏡検査の予定がある場合、絶飲⾷になっていることもあるため、その他の検査の情報を確認する必要がある。造影CT検査後に内視鏡検査が予定されている場合は、検査後に⽔分摂取を⾏ってはいけないため検査前に丁寧に確認することを⼼がけている。「シリンジ製剤を使⽤する場合には、様々な要因で時間の余裕はない。」しかし、Centargoを導⼊してから、これまで以上に患者の介助や事前に話を聞いたりする時間の余裕ができている。さらに、患者に副作⽤が出た場合、以前は看護記録を記載する時間的余裕を作るのが難しかった。しかし、今は、すぐに看護記録へ詳細なレポートが書けるほど、時間に余裕ができた。
南 教授 患者の⽴場では、いちばん物事を聞きやすく、ちょっとしたことでも訴えをしやすいのが看護師であると思う。技師よりも、おそらく看護師の⽅が、微妙な感想も含め、訴えや、会話、コミュニケーションのハードルが低くなる。なるべく⻑く患者を⾒てあげられる事はとても⼤事である。
実際に使⽤した感想(看護師)
舩本 看護師⻑ 看護師は、Centargoに直接触ることはないが、従来のインジェクタで⾏っていた作業を⾏わなくても検査が安全に⾏え、終了できると感じている。例えば、1)検査前のライン作成、2)検査後のライン留置のための陽圧ロックが挙げられる。当院では、検査前のライン作成の基本準備は耐圧チューブ1本と22G留置針を使⽤する。チューブ内のエア抜きを⼿動で⾏い、検査ラインの準備が完了する。しかし、⽣⾷の後押しを⾏う検査の場合は、シリンジに⽣⾷を詰めるという作業⼯程が追加される。そのため、⼿間と時間がかかり、ライン作成の煩雑さを感じる。しかしCentargoでは1種類のラインで全ての検査に対応できる。そのため、検査毎に作成するラインの煩雑さがない。検査後のライン留置のための陽圧ロックは、⽣⾷シリンジ(10mL)を1本使い、耐圧式ポート(CVポート)の場合は、10mLを2本使う。当院では、病棟や外来(診療科)でラインを⼊れてきた患者は、検査後、⽣⾷でラインを留置したままの状態で病棟、診療科へ戻ってもらう。このような場合は、Centargoのタンク内に貯蔵されている⽣⾷を利⽤し、陽圧ロックかける。追加で⽣⾷シリンジ(10mLシリンジ)を使⽤することなく、作業効率の向上が⾒込める。⽣⾷の注射器を変える際には、何回も消毒をしなければいけない。しかし、Centargoはその作業も必要なく、患者と接続したラインは閉鎖状態で作業ができる。検査の時のみ⽣⾷を使⽤するのではなく、看護師も常に⽣⾷を利⽤でき、本当に⼿間のかからないシステムと感じる。作業の数だけエラーが⽣じるので作業ステップが少ないと当然のようにエラーが少なくなる。ライン作成時のエラーを防ぐため、ラインセットの種類毎にマニュアル(画像資料)を作成し、マニュアルで確認しながら準備していた。しかし、Centargoは、決まった1種類のみのラインを作成するだけで新しいスタッフへのライン作成教育も簡単になっている。

1年間使⽤した、率直な感想
造影CTはあくまでも検査であるため、エラーが起こってはいけない。従って、普通に終わって当たり前だが、不幸にしてその当たり前ではないことも起こりうる。当然ということをどれだけ踏襲できるか、その時にどれだけ貢献できるかを考えた場合、ステップが少ないインジェクタの⽅が、当たり前のことを当たり前にできる可能性が⾼くなる。Centargoを導⼊しスタッフの業務効率と患者ケアの質が向上していることに満⾜している。
管理医療機器 / 多相電動式造影剤注入装置
販売名:Centargo CTインジェクションシステム
認証番号:302AABZX00091000
製造販売元:バイエル薬品株式会社
管理医療機器 / 造影剤用輸液セット
販売名 / Centargo ディスポーザブルセット
認証番号 / 303AABZX00003000
製造販売元:バイエル薬品株式会社