バイエル画像検査室

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MR室

造影剤投与後の待ち時間はどうしていますか?「造影検査を再考してみましょう」

単純造影検査でも後押し生食を用いて欲しいと要望されました。必要ですか?

最近のMRI装置は撮像時間が短いから、ボーラス性を維持して右心房まで造影剤を届けるには単純造影検査においても後押し生食は必要な手技といえるね。

造影剤投与後の待ち時間はどうしていますか?「造影検査を再考してみましょう」

MRI検査に用いられる造影剤の多くは、ガドリニウムをキレート化したガドリニウム造影剤であり細胞外液中に分布することが知られています。このガドリニウムをベースとした造影剤(GBCM : gadolinium-based contrast media)を静脈内投与することで、腫瘍などがT1強調画像において高信号を呈します。

GBCMの各種特徴の紹介は又の機会として、今回は単純造影検査における造影剤投与後の撮像時間に関して紹介します。GBCMが市場に登場したのは1988年にさかのぼります。当時のMRI装置はConventional SE法と一部のGradient Echo法による撮像しかできませんでした。造影後の撮像はConventional SE法によるT1強調像であり、一般的な撮像時間は5分程度を必要としていました。当時の検査手技として、造影剤投与後ただちに撮像を開始しても、十分な造影効果が得られていました。これは、静脈投与された造影剤が体内において2〜3分程度で平衡相に至り、広く細胞外液中に分布するためと考えられています。

しかし、装置の進歩とともに撮像系の高速化は目覚ましいものがありました。空間分解能を犠牲にせず撮像時間を短縮する代表的な技術として、長方形F.O.V・高速SE法・Parallel MRIが挙げられます。Gradient Echo法においても三次元化など画質の向上がありました。これらの技術を併用すると、Conventional SE法では5分程度かかっていた撮像時間が、1〜1.5分程度に短縮することが可能となりました。単純造影検査において従来と同じ手技で、投与直後に撮像を開始すると造影剤が平衡相に達していないうちに撮像を行うことになります。結果として複数方向の撮像において造影効果が異なる画像となることがあります(図1)。

図1
図1

また、十分な時間を待つことで造影効果が上がってくることが知られています(図2)。

図2
図2

投与後に十分な待ち時間(平衡相まで)を取ることができれば良いのですが、単純な待ち時間はもったいないです。限られた検査時間の中で、効率よく高い診断能を持った画像を提供するために検査プロトコルを見直すことは一つの手段かもしれません。あるご施設で実践されている検査プロトコルですが、造影前に撮像しているT2強調像を造影後に施行することで、造影後の待ち時間とされています。または、k-spaceの中心を撮像の最後に埋める設定ができれば、コントラストを得るデーターが撮像の終わりに持ってくることができるので効果的かもしれません。
この機会に造影検査の検査プロトコルを見直してみてはいかがでしょうか。


単純造影検査でも生食の後押しと、投与後の待ち時間が必要なんですね。

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