バイエル画像検査室

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MR室

緩和率と緩和能

MRI用造影剤ではヨード造影剤と振る舞いが異なると聞きました。同じように画像上は白くなるのに、何が違うのですか。

MRIでは緩和時間の違いをコントラストとして表されるからね。ちょっとみてみよう。

緩和率と緩和能

MRI検査では必要に応じて様々な値を測定することがあります、T1値,T2値やADC値などです(信号強度は相対値なので省きます)。

T1値,T2値は緩和時間(msec)として表記されます。この緩和時間に変化をもたらすのがMRI用造影剤です。静脈投与を行うMRI用造影剤の多くは金属イオン、中でもガドリニウムイオン(Gd3+)をキレート化して診断に用いられています。
また、MRI用造影剤では金属イオンの濃度により明度(intensity)が異なります。

ヨード造影剤は濃度に比例して造影効果が増強される。一方、MRI用造影剤には至適濃度がある。
ヨード造影剤は濃度に比例して造影効果が増強される。一方、MRI用造影剤には至適濃度がある。

ヨード造影剤は濃度に比例して造影効果が増強される。一方、MRI用造影剤には至適濃度がある。

しかし、同じ濃度の金属イオンでもその物質によって緩和時間に対する影響が異なります。
緩和時間に関する指標として「アール・1,2値」があります。この「アール」には大文字と小文字があり、厳密には異なるものとして使い分けされます。

大文字のRとはrelaxation rateを指します。このRは緩和時間の逆数であり緩和率と訳されています。単位はmsec-1になります。これは緩和の速度ですから“緩和速度”との表現でもよいと云われています。イメージング側からみるとT1値と同じ意味なので、使いやすいのはこちらのRでしょうか。

一方、小文字のrとはrelaxivityを指します。このrは緩和時間を変化させる能力の大きさなので緩和能(緩和度との標記もある)となります。緩和時間は造影剤の濃度におよそ反比例するので、逆数をとれば濃度に比例します。

そのため、T1値よりは使いやすいです。同じ濃度の金属イオンでも、Mn2+よりGd3+の方が強い緩和時間の変化をもたらすので、Gd3+の方が緩和能が高い(大きい)という使い方をします。
単位は濃度を考慮したmM-1/sec-1になります。一般的にMRI用造影剤はT1緩和時間、T2緩和時間の両方を短縮する性質があります。T1及びT2を短縮する能力はそれぞれr1、r2で表されています。

1.5Tにおける脳の白質の平均的なT1値(800msec)及びT2値(80msec)であり、Gd-DTPAの濃度を0.1mmol/Lとした場合、T1値は606msec、T2 値は77msecとなります。
このことからも、一般的な細胞外液MRI用造影剤はT2緩和よりもT1緩和に対する寄与が圧倒的に大きいことが判ります。


X線を吸収するヨード造影剤とは違い、MRI用造影剤はプロトンの緩和時間に影響していたのですね。

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