バイエル画像検査室

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MR室

正しく使い分けよう:造影と増強「造影と増強を考えてみましょう!」

学会発表の抄録を書いているのですが、CT検査とMRI検査で造影と増強が混乱してしまいました。正しい使い方を教えてください。

CTとMRIでは原理が違うからね。簡単に解説するから覚えてください。

正しく使い分けよう:造影と増強「造影と増強を考えてみましょう!」

画像診断において造影剤が用いられる検査は数多くあります。上下消化管を対象にしたバリウム検査は一般的に知られている検査の一つでしょう。

ヨード系造影剤を用いては血管造影やCT検査が多く、胆嚢・胆道やリンパ管などの脈管系あるいは脊髄腔および関節にいたる全身が造影検査の対象となっています。それらはX線検査を前提にした造影剤であり、X線の吸収差が画像上の影として描出されます。陽性造影剤の代表としてX線吸収の大きな物質としてヨードやバリウムが多く用いられます。陰性造影剤としては空気が用いられることが多いでしょう。

X線検査の多くはネガポジが反転して表示されますので、陽性造影剤は白く表示されます。私たちが普段目にする造影後の画像は「白い影」として表示されています。

CT造影画像
CT造影画像
MRI造影画像
MRI造影画像

画像診断ではX線検査の他にMRIや超音波検査でも造影剤は用いられます。

ここで、MRIの造影剤について考えてみましょう。
MRI用造影剤にも陽性および陰性造影剤があります。緩和速度とその時の造影剤の濃度によって白くも黒くも表示されます。もちろん陰性造影剤は黒くしか表示されません。MRIはX線検査の様な影絵ではなく、測定する物質の緩和速度をコントラストとして表示しています。MRI用造影剤ではこの緩和速度を促進させ、病巣にコントラストをもたらすことができこの緩和効果をR1およびR2の値として知ることができます。また数値が大きいほど緩和効果が大きいといえます。

さてここで疑問です、MRIは物質の緩和過程をコントラストして得ており、その緩和を促進するのがMRI用造影剤です。したがってX線造影剤のように「影」を作っているわけではありません、しかし我々はMRI用造影剤と呼んでいます。MRIの原理的に基づいて表現するとMRIの造影後は「増強効果」となります。だからといって、MRI用造影剤を「増強剤」と呼んでいることを聞いたことはありません。増強剤とは何か、栄養ドリンクのようですね。

造影後(あえて造影後と呼びます)の画像を表現するときに、下記に注意して使うと良いと思います。

  • X線検査:「造影能」・「造影効果が得られた」など。
  • MRI検査:「増強能」・「増強効果が得られた」など。

なるほど。気をつけて正しく使い分けます。

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