バイエル画像検査室

知っていれば役立つ「マメ知識」、「学会で入手した情報」を、
4人の放射線科スタッフがお届けします。

線量管理室

海外と日本の診断参考レベル(DRL)の比較とICRP勧告

海外と日本の診断参考レベルは違うんですか?

診断参考レベルは国や地域ごとに設定されるのが基本だから、対象の線量指標とかその数値は違ってくるんだよ。

海外と日本の診断参考レベル(DRL)の比較とICRP勧告

日本では2015年に1回目の診断参考レベル(DRL)が発表されましたが、海外ではどのような動向になっているのかICRPの勧告と合わせて紹介します。

海外におけるDRLについて

DRLは国や地域ごとに設定することを基本としており、それぞれで値や指標が異なることがあります。すでにDRLを設定している国・地域は数多くあり、その一部を図1に示しています。これらはICRPの勧告を基に作成されました。

図1.DRLを設定している国と地域の一例
図1.DRLを設定している国と地域の一例

ICRPの勧告とは?

ICRP(国際放射線防護委員会)は放射線の適切な防護を推進すべく、医療放射線関連のPublication(文書、勧告)を多数公表しています。

被ばく低減の原則となるALARA(as low as reasonably achievable:合理的に達成可能な限り低く抑える)の提言や、ICRP Publ.60、ICRP Publ.103などの勧告文書、そしてDRLの作成についてもこのICRPの諸勧告を元に作成されています。

これらの勧告は日本の「放射線障害の防止に関する法令」でも尊重されるものとなっています。

ICRP Publ.103でのDRLの扱いについて

ICRP Publ.103では「7.2. 医療被ばくにおける防護の最適化」の項目にて『診断とIVRの医学的手法からの被ばくにおいては、DRLは防護の最適化を目的とするが、個々の患者の線量拘束値によって履行されるのではない。DRLは、患者の線量を医療目的とバランスが取れるように管理するための手段である。』1)とまとめています。つまりDRLはある検査において、患者の被ばく線量が定められた値と比較して高いのか、低いのかを判断するもので、これをしきい値として用いることは不適切であるとしている。

他国との診断参考レベル(DRL)比較

他国の診断参考レベル(DRL)と比較する際に注意する点としては、「欧米のDRLにおける標準体格は日本より大きいことを念頭に比較する必要がある」とされています。

図2.他国と日本のDRL比較
図2.他国と日本のDRL比較

日本における診断参考レベル、DRLs 2015はCTでは50〜60kg(冠動脈のみ50〜70kg)を日本人の標準体格として作成されました。海外のDRL作成時の標準体格情報はありませんが、日本と米国における体格の違いは(図3)の様になります。

図3.日本と米国の平均身長・体重
図3.日本と米国の平均身長・体重

日本は米国に比べ小柄でBMIにも大きな差があることがわかります。これらのことから、特に体幹部の検査におけるDRLは単純に比較できるものではないと考えられています。


地域間のDRLを比較するためには、SSDE(:Size-Specific Dose Estimats)等を使って、被写体の体格を考慮した線量管理も進めていかないといけないかな。

【参考文献】

1)
The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection ICRP Publication 103 Ann. ICRP 37 (2-4), 2007

PP-PF-RAD-JP-0098-04-02