バイエル画像検査室

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CT室 検査

腹部造影検査で再現性のある検査方法は?

造影剤の投与量を自動計算する機能を使ってみよう!

腹部造影検査で再現性のある検査方法は?

体重を入力すると注入プロトコルを計算してくれるインジェクタもありますが、どれぐらいの値を設定するのがいいのでしょうか。今日は実質系造影検査の注入プロトコル例をご紹介します。

実質系の造影について、造影効果は注入される造影剤ヨード量に比例し、造影強度に対して影響を与える因子は体重であると報告されています。1)体重は脂肪に代表される細胞外液スペースにおいて強い指標にはなりませんが、除脂肪体重より簡便に測定できることから、造影剤投与量を決定するための一つの指標として、よく体重が用いられます。体重あたりの投与量は、画像診断ガイドライン2016年版によると、肝臓の造影検査では体重あたりのヨード量を520 mgI/kg〜600 mgI/kgとしています。

また、設定する注入速度ですが、肝臓の最大造影効果はヨード量に依存し、注入速度には依存しないため、多相性造影(Dynamic)での注入時間は30秒前後に時間固定し、門脈相のみの場合は2mL/sec以上で注入するのが一般的としています。2)

このようなエビデンスに基づいた検査をより簡便に実施できるよう、被検者の体重に合わせたプロトコルを自動的に算出する計算ソフトがCTインジェクタには搭載されています。体重入力は通常マニュアル入力をしますが、RISとインジェクタが接続されていれば、被検者情報内の体重を自動的に読み込むことも可能です。

体重入力
自動でプロトコル算出

(1)使用する造影剤

体重あたりのヨード量を520 mgI/kg、注入時間を30秒と設定すると、300 mgI/mLの造影剤は造影剤投与量や注入速度が、高濃度の造影剤と比較して高くなります。ご施設によっては複数の造影剤を準備し、決められた体重群ごとに使用する造影剤を選択している施設も多く見受けられます。Stellant with Certegra Workstation(以下CWS)では、放射線科医と合意された体重あたりの造影剤投与量や、使用している造影剤の濃度に基づき、体重注入プロトコルを複数作成することが可能です。

腹部Dynamic検査での注入プロトコル例
腹部Dynamic検査での注入プロトコル例

(2)注入速度

造影剤注入速度は血管外漏出発生と直接的な因果関係がないことは報告されていますが、血管にかかる負担を考慮して、インジェクタの最大注入速度の上限値を設定している施設も多くあるのではないでしょうか。

また、高体重の被検者に、高容量の造影剤を短時間で注入する場合、注入速度が5 mL/secに近づき、かなりの高速注入となります。この場合、造影剤注入前に、造影剤注入速度と同等の速度で生理食塩水を注入し、ルートが確実に確保され、高速注入に耐えられることを確認する、生理食塩水でのテストインジェクションを行うことが、血管外漏出の予防策として有用です。

設定画面での最大注入速度設定例
設定画面での最大注入速度設定例
生理食塩水でのテストインジェクション例
生理食塩水でのテストインジェクション例

【参考文献】

1)
Optimal vascular and parenchymal contrast enhancement : The current state of art Dominik Fleischmann et al.:Radiol Clin N Am 47, 13-26, 2009
2)
画像診断ガイドライン 2016年版 日本医学放射線学会
3)
ちょっと役立つ造影検査に関する話題 日本放射線科専門医会・医会/バイエル薬品株式会社

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