バイエル画像検査室

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CT室 大腸CT検査

便潜血検査で陽性と診断された場合、精密検査ってどうしていますか?

内視鏡検査や注腸造影検査をしていますが、苦痛を軽減し短時間で実施できる精密検査として大腸CTが注目されています。

便潜血検査で陽性と診断された場合、精密検査ってどうしていますか?

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成28年の死因のうちトップは悪性新生物で、昭和56年以降死因の順位は第1位で全死亡者に占める割合28.5%、つまり全死亡者の3.5人に1人が悪性新生物で死亡したことになります(死亡者数は372,986人)1)
男女別の死因割合でも、男女ともに悪性新生物が1位で、男性が32.6%、女性が24.2%となっており、第2位である心疾患(男性13.8%、女性16.5%)を大きく引き離しています。

平成28年悪性新生物による部位別の死亡数のうち、大腸がん(結腸がんと直腸S状結腸移行部および直腸のがんの合計)によるものは女性が1位、男性が3位です。早期発見によって良好な予後が期待できる疾患であるにもかかわらず、平成22年に実施された「国民生活基礎調査」によると、大腸がん検診の受診率は、男性が28.1%、女性が23.9%でした2)。これを受け、平成24年6月に見直された「がん対策推進基本計画」では、平成28年までのがん検診受診率の目標を50%に設定し、5年間で40%の40〜69歳の国民が大腸がん検診を受診することを目標に掲げました3)。平成28年のがん検診受診率は男性が44.5%、女性が38.5%となりました。

平成28年死亡原因の比率

平成28年悪性新生物による部位別死亡数

1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 肝臓 膵臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸9位

大腸がんの1次検診としては便潜血検査が職場や自治体で広く実施されています。便潜血検査で陽性と診断された場合、精密検査として内視鏡検査や注腸造影検査が行われて来ました。しかし、精密検査の受診率は55.4%にとどまっています4)。前日からの準備に対する抵抗、検査時間が30分程度かかる、服用する薬剤によって検査後も苦痛が続く、これらの苦痛を軽減し、より短時間で実施できる精密検査の方法として近年注目されているのが、大腸CTです。

大腸CTは、被検者の大腸を気体で拡張し、CTで撮影し、そこから得られる1000枚以上の画像を解析することによって大腸内部を診断する検査方法です。実際に腸管に内視鏡を入れることなく病変を見つけることが出来るため、検査中の苦痛が少なく、検査に要する時間も15分程度と従来の検査方法に比べると短いことが特長です。次のような流れで検査が行われます。

  1. 被検者の大腸を炭酸ガスで拡張
  2. CTを用い腹臥位でプレスキャン
  3. 大腸の拡張を確認し、拡張が足りない場合は炭酸ガスを追加注入
  4. 大腸が拡張されたことを確認して撮影
  5. 仰臥位でプレスキャンを行い、大腸の拡張状態を確認した上で撮影
仰臥位と腹臥位の撮影順番は施設により異なります。

平成24年より大腸のCT撮影加算が認められたため、国内でも実施される施設が増えています。腸管への吸収性が空気の130倍ともいわれる炭酸ガスを用いることによって、検査後の被検者の身体的苦痛を軽減できます。また、他の方法に比べると検査に要する時間が短いことから、より多くの精密検査を実施することができます。


大腸がんによる死亡率増加に歯止めをかけるためにも、大腸CT検査に期待が寄せられています。


【参考文献】

1)
人口動態統計の概況(平成28年)
2)
国民生活基礎調査(平成28年)
3)
がん対策推進基本計画(平成30年)
4)
日本消化器がん検診学会全国集計委員会報告(平成26年)
5)
がん死亡順位(平成28年)

PP-PF-RAD-JP-0098-04-02