ポスター発表

準備編(3)発表者に話しかけられてみよう

ポスター発表

前回はポスター会場を歩いてもらいました。今回からは「話しかけ方」についてお話しすると書きましたが、まずはいきなり話しかけるのでなく、話しかけられてみましょう。
タイトルを見て少し興味を持ったら、近づいて更に読んでみましょう。…話しかけられましたか?
ポスターを遠巻きに見ているだけ、足を止めず通り過ぎているだけの場合、特に話しかけられることはないです。とりあえず足を止めると話しかけられる可能性が高くなります。近づいてイントロダクションを読み始めたら、更に声をかけられる可能性が高まります。
声をかけられたとき、あなたはどのように感じますか?
「やった、声をかけてもらった、質問させてもらおう」と思うでしょうか。
「しまった、話しかけられちゃった、何とか逃げなきゃ」と思うでしょうか。
「なんか期待されてるみたいだけど、困ったな、何を言えばいいのか」と思うでしょうか。
逆に、話をしたいと思ったのに話しかけられなかった場合、どう思うでしょうね。
「すっかり無視されてるな、このまま無視され続けるんだろうか」
「私が若くて経験もなさそうだから話しても無駄と思ってるのかも」
誰かが発表者と会話していてこちらに話しかける様子がなかったとしたら?
「なんか雑談まで始めたけど、こっちには用なしか」
うーん、ポジティブな気持ちはなかなか沸いて来なさそうですね。
実際、会話を主導できる人でないと、全く知らない人とポスターをはさんで楽しく会話なんて難しいんじゃないでしょうか。相手がうまくのせてくれればいいのですが、前回お話したとおり、学会でポスターを発表している人たちは若い人が多く、しかも研究畑で純粋培養された人がほとんどで、たいていは客商売の素人なんです。客商売!言い切っていいのかわかりませんが、私はフリートークのポスター発表は商売とよく似ていると思っています。
声をかけられるパターンで一番多いのはこんな感じです。

ぶらぶら歩いていてふとタイトルが気になり(もしくは図が気になり、もしくは単にポスター色彩が目を引いて)、足を止める。するとすかさず発表者が声をかけてくる。
「何か質問ありますか?」もしくは「質問があったら遠慮なく聞いてください」
うーん、これでは洋服を見に行って布に触れたとたん「よかったら試着どうぞ~」と言われているのとなんら変わりありません。聞かれたほうといえば「あ、はい、どうも」とモゴモゴ言葉を濁して、発表者と目を合わせないようにちょっと読み進めてみて、こっそり隠れるようにその場を離れる…。

私も今でこそ大分場慣れしてきましたので、ある程度不慣れな人から話を聞きだすこともできるようになりましたし、うっかり立ち止まってしまったポスターからうまく立ち去るすべも身に着けました。でも学会ビギナーの頃はこっそり逃げるだけでなく、なんか聞かなきゃ聞かなきゃと変な質問をしてみては「そうです」の返事の後の沈黙に心を痛めたり、ぜんぜんわからない話をひたすら聞く羽目になってどうやって話を終えて去ることができるのかと途方に暮れたり、様々な経験をしてきましたよ。

ポスターを発表するからには多くの人に見てもらいたいですよね。見てもらうだけでなく、意見交換したり、問題点を指摘されたり、知らなかったことを教えてもらったり、ディスカッションによって得るものはたくさんあります。そのためには興味を持った人にとどまってもらって、更に深くまで興味を持ってもらって、ディスカッションにまでなんとか持ち込みたいものです。戸口から店内をそっとのぞいた人に突進して行った結果追いやるとか、せっかく入ってきた人を手ぶらで帰らせるなどはできるだけ避けたいのです。
これからお話していくポスター発表での会話術は、私が会場を歩いて、この人と話をするのは楽しい!と感じた発表者の会話を集め、自分で試したりアレンジしたりしながらストックしてきたものです。話し方は人それぞれでしょうから、ぜひ皆さんにもポスター会場をどんどん歩いて、よい経験、悪い経験を集め、自分に合った発表する力を磨いていただきたいと

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