アブストラクトを書く おさらい
さて、過去5回に渡ってアブストラクトの書き方についてお話してきました。
まず、何はともあれ規定を確認するのでしたね。フォーマットはどうか。文字数はどうか。
その後は項目ごとに何に気を付けて書くのかを説明していきました。研究のデザインがわかるようなタイトルにすること。 Purposeでは1. 背景、 2. 未だ解決されていない問題、 3. 今回の研究の目的、で構成するとうまくいくこと。簡潔に、でも研究内容を明らかにすることにより、読んだことがすぐに研究をイメージできるようなアブストラクトになるよう、心がけること。
Methods and Materialsは研究の質を表すものなので、しっかり、質を示す内容を書くべきとお話ししました。 Resultsも少し似ていて、事実が曲がって伝わらないように、もっと言えばわざと曲げて伝わるように仕向けたと思われないように、しっかりデータを入れて書いていく、と。
そしてConclusionでは、事実をもとに、話を盛らず、でも「これだけは覚えて帰ってほしいTake home message」を書くのでした。
例もたくさん出しましたので、なんとなくわかっていただけたと思うのですが、自分のアブストラクトを書くとなった時にうまく応用するのは始めは難しいかもしれません。『アブストラクトを書く(2) Methods and Materials はクオリティの指針』で、「Methods andMaterialsの目的が研究のクオリティを示すことだとわかれば、規定に書かれたことが何なのか、おのずと決まってきます」「そのようなポイントを押さえて書かれたアブストラクトであれば、ちゃんとした研究だと理解してもらえるはずです」とありますが、自分の研究の「そのようなポイント」って、すぐにわかるでしょうか?
実は、私も自分の経験のみから勝手に理論を立てて書いているわけではありません。論文をわかりやすく書こう、だれが読んでも誤解なく読めるようにしよう、書き方の質を上げてもっとたくさんの人に正しく理解してもらおう、と行動している人たちが、論文やアブストラクトのガイドラインを作成していて、私もしっかり参照させてもらっています。
たくさんのガイドラインがあるのですが、皆さんが使いそうなものを上げると、
無作為化比較臨床試験の書き方: CONSORT
観察研究の書き方: STROBE
診断法に関する研究の書き方: STARD
http://www.equator-network.org/wp-content/uploads/2017/08/STARD-for-Abstracts-checklist.docx
などがあります。それぞれに示したURLはアブストラクトの書き方(チェックリスト)にリンクをしてあります。
私が例に出したものでは、『アブストラクトを書く(2) Title とAbstract (purpose) に書く内容』の例2はCONSORT、例3ではSTROBEが使えます。 4ではケースレポートですから別のものがあります。
ケーススタディの書き方: CASE
http://www.care-statement.org/resources/checklist
そしてもう一つ。『アブストラクトを書く(2) Methods and Materials はクオリティの指針』および『アブストラクトを書く(3) Results とConclusion お土産のメッセージ』で例とした乳癌診断法はSTARDになりますね。
慣れないうちは難しいんですが、頑張ってガイドラインに従って書いていくと、気が付いたらわかりやすく書けていますよ。ぜひ活用してください。
ようやくアブストラクトの書き方が終わりました。次回からはいよいよ、ポスターを作成していきたいと思います。
L.JP.MKT.RI.02.2018.1736