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小児は腎機能をはじめとする生理機能が未熟な上、意思疎通が上手くできないことが想定されるため、患児の状態を十分に観察するなど特段の注意を払う必要があります。
MRIは体動による影響を大きく受けるため、撮像時に安静が保てないと良好な画像を得ることができません。また、撮像時に大きな音が発生し、患児の不安も強いため、小児のMRI検査では不安を取り除く工夫や、鎮静を目的とした薬剤の投与が行われる場合もあります。なお、薬剤による鎮静の場合、重篤な合併症を伴うケースも報告されており、小児患者のMRI検査のための鎮静をより安全にするための基準として、「MRI検査時の鎮静に関する共同提言*」が示されています。
*MRI検査の適応とリスクの説明と同意、患者の評価、緊急時のためのバックアップ体制、鎮静前の経口摂取の制限、患者の監視、検査終了後のケアと覚醒の確認等が説明されています。
注意点 | 理 由 |
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モニタリング装置を用いた注意深い観察 | 小児では身体の異常を上手く表現できない場合があるためです。 |
注入に際し穿刺部位の注意深い観察 1) | 小児の血管は細く血管外漏出のリスクが高いと考えられるためです。 |
薬剤による鎮静の考慮 | 体動によるアーチファクトを防ぐためです。 参照Q4-3 |
【参考文献】
1) | Siegel MJ:Eur Radiol 15(Suppl 4):D32-D36(2005) |
---|---|
2) | Elster AD:Radiology 176(1):225-230(1990) |
3) | Glutig K et al.: Pediatr Radiol 46(9):1317‒1323(2016) |
4) | Nardone B et al.:Pediatr Radiol 44(2):173-180(2014) |
5) | ACR Manual on Contrast Media Ver.10.3(2018) |
6) | Geller J et al.:Magnetic Resonance Insights 51(4):21-27(2016) |
7) | 近藤陽一:小児内科 39(増):79-80(2007) |
8) | 長村敏生:小児内科 40(2):441-443(2008) |
9) | 藤田和俊ほか:日本小児放射線学会雑誌 23(1):25-32(2007) |
10) | MRI検査時の鎮静に関する共同提言:日本小児科学会、日本小児麻酔学会、日本小児放射線学会(2013年) |
11) | 山中岳ほか:日本小児科学学会雑誌 121(11):1920-1929(2017) |