一般的にいわれているヨード造影剤による副作用発現リスクの高い患者のほか、適応により注意を要する対象症例が異なる。
脳・脊髄造影で禁忌として設定されている。
抗痙攣剤投与中の患者では、その投与を継続するとともに、痙攣発作の発現を 注意深くモニタリングする必要がある。
髄腔内に造影剤を投与した場合、クモ膜下腔と中枢神経の間には特別な関門が ないため、造影剤は容易に神経細胞と接触する
これらの薬剤との併用により痙攣発作の発現の可能性が増大するとする報告が あり、少なくとも検査前48時間から検査後12時間は抗精神病薬の投与を中止す るよう、併用注意に記載されている。
痙攣閾値の低下が生じる可能性があり、慎重投与に記載されている。
子宮卵管撮影ではX線照射を伴うため、禁忌として設定されている。
造影剤注入の際に膣や頚管の病原菌が押し上げられたり、造影剤の刺激により 症状が悪化するおそれがある。
髄液の漏出など何らかの原因により髄液圧が低下すると頭痛を主症状とする髄液圧低下症を呈する。立位、座位で増悪し、臥位で改善する特徴がある。
脳・脊髄造影では適用上の注意に「本剤の注入量より多量の脳脊髄液を除去しないこと」と記載されている。
※滅菌状態でないので、ゴム栓穿刺前にアルコール清拭等が推奨される
造影剤がバイアルに充填され、密封された容器の状態で、高圧蒸気滅菌(121℃ 20分間)を行っている。
承認時及び使用成績調査での調査症例6,158例中、493例(8.0%)に副作用が認められ、主な副作用は頭痛303件(4.9%)、嘔気86件(1.4%)、頭重感42件(0.7%)、嘔吐38件(0.6%)、発疹32件(0.5%)、瘙痒20件(0.3%)、背部痛20件(0.3%)等であった。(再審査終了時)
対象 | 時期 | ||
---|---|---|---|
承認時迄の調査 | 使用成績調査の累計 | 計 | |
調査施設数 | 48 | 308 | 345 |
調査症例数 | 453 | 5,705 | 6,158 |
副作用発現症例数 | 93 | 400 | 493 |
副作用発現件数 | 146 | 552 | 698 |
副作用発現症例率(%) | 20.53 | 7.01 | 8.01 |
副作用の種類 | 副作用発現件数(%) | ||
---|---|---|---|
承認時迄の調査 | 使用成績調査の累計 | 計 | |
皮膚・皮膚付属器障害 | 8 例(1.77) | 31 例(0.54) | 39 例(0.63) |
発疹 | 6(1.32) | 26(0.46) | 32(0.52) |
瘙痒 | 6(1.32) | 14(0.25) | 20(0.32) |
蕁麻疹 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
中枢・末梢神経系障害 | 9 例(1.99) | 28 例(0.49) | 37 例(0.60) |
しびれ(感) | 5(1.10) | 8(0.14) | 13(0.21) |
めまい | 3(0.66) | 8(0.14) | 11(0.18) |
痙攣 | - | 6(0.11) | 6(0.10) |
頸部硬直 | 3(0.66) | 2(0.04) | 5(0.08) |
麻痺 | 1(0.22) | 2(0.04) | 3(0.05) |
四肢硬直 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
意識障害 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
見当識障害 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
髄液異常 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
知覚障害 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
バビンスキー徴候 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
運動障害 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
自律神経系障害 | 4 例(0.88) | 12 例(0.21) | 16 例(0.26) |
発赤 | 4(0.88) | 7(0.12) | 11(0.18) |
低血圧 | - | 4(0.07) | 4(0.06) |
血圧上昇 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
多汗 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
聴覚・前庭障害 | - | 2 例(0.04) | 2 例(0.03) |
耳鳴 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
聴力障害 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
精神障害 | - | 3 例(0.05) | 2 例(0.03) |
幻聴 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
浮遊感 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
消化管障害 | 27 例(5.96) | 81 例(1.42) | 108 例(1.75) |
嘔気 | 23(5.08) | 63(1.10) | 86(1.40) |
嘔吐 | 9(1.99) | 29(0.51) | 36(0.58) |
口内乾燥 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
食欲不振 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
胃不快感 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
肝臓・胆管系障害 | - | 8 例(0.14) | 8 例(0.13) |
AST(GOT)上昇 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
ALT(GPT)上昇 | - | 4(0.07) | 4(0.06) |
ビリルビン値上昇 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
肝機能異常 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
代謝・栄養障害 | - | 6 例(0.11) | 6 例(0.10) |
血清総蛋白減少 | - | 4(0.07) | 4(0.06) |
LDH 低値 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
Aℓ-P 低下 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
血中コレステロール低下 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
心拍数・心リズム障害 | - | 1 例(0.02) | 1 例(0.02) |
不整脈 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
呼吸器系障害 | 1 例(0.22) | 1 例(0.02) | 2 例(0.03) |
息苦しい | 1(0.02) | 1(0.02) | 2(0.03) |
赤血球障害 | - | 1 例(0.02) | 1 例(0.02) |
赤血球減少 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
ヘマトクリット値減少 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
ヘモグロビン減少 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
血小板出血凝血障害 | - | 2 例(0.04) | 2 例(0.03) |
血小板減少(症) | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
泌尿器系障害 | - | 5 例(0.09) | 5 例(0.08) |
排尿障害 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
BUN 上昇 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
血中クレアチニン上昇 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
尿蛋白陽性 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
一般的全身障害 | 75 例(16.56) | 308 例(5.40) | 383 例(6.22) |
頭痛 | 65(14.35) | 238(4.17) | 303(4.92) |
頭重(感) | 1(0.22) | 41(0.72) | 42(0.68) |
腰痛 | - | 14(0.25) | 14(0.23) |
背(部)痛 | 8(1.77) | 12(0.21) | 20(0.32) |
下肢痛 | 2(0.44) | 7(0.12) | 9(0.15) |
発熱 | 9(1.99) | 7(0.12) | 16(0.26) |
ほてり | - | 3(0.05) | 3(0.05) |
顔面潮紅 | - | 3(0.05) | 3(0.05) |
顔面浮腫 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
胸痛 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
気分不良 | - | 2(0.04) | 2(0.03) |
上肢脱力感 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
下肢脱力感 | - | 1(0.02) | 1(0.02) |
部分の数字は副作用発現症例数(%)を示す。(バイエル薬品社内集計)
承認時及び使用成績調査での調査症例3,548例中206例(5.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主な副作用は腹痛〔注入中〕109件(3.1%)、腹痛〔注入後〕56件(1.6%)、嘔気28件(0.8%)、発熱22件(0.6%)、発疹15件(0.4%)等であった。(再審査終了時)
対象 | 時期 | ||
---|---|---|---|
承認時迄の調査 | 使用成績調査の累計 | 計 | |
調査施設数 | 10 | 200 | 204 |
調査症例数 | 97 | 3,451 | 3,548 |
副作用発現症例数 | 12 | 194 | 206 |
副作用発現件数 | 19 | 259 | 278 |
副作用発現症例率(%) | 12.37 | 5.62 | 5.81 |
副作用の種類 | 副作用発現件数(%) | ||
---|---|---|---|
承認時迄の調査 | 使用成績調査の累計 | 計 | |
皮膚・皮膚付属器障害 | - | 18 例(0.52) | 18 例(0.51) |
蕁麻疹 | - | 1(0.04) | 1(0.03) |
瘙痒感 | - | 8(0.23) | 8(0.23) |
発疹 | - | 15(0.43) | 15(0.42) |
中枢・末梢神経系障害 | - | 2 例(0.06) | 2 例(0.06) |
ふるえ | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
しびれ | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
自律神経系障害 | - | 6 例(0.17) | 6 例(0.17) |
顔面蒼白 | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
発赤 | - | 5(0.14) | 5(0.14) |
冷汗 | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
聴覚・前庭障害 | - | 1 例(0.03) | 1 例(0.03) |
耳鳴 | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
消化管障害 | 3 例(3.09) | 34 例(0.99) | 37 例(1.04) |
嘔気 | 1(1.03) | 27(0.78) | 28(0.79) |
嘔吐 | 1(1.03) | 8(0.23) | 9(0.25) |
下痢 | 2(2.06) | 4(0.12) | 6(0.17) |
白血球・網内系障害 | - | 2 例(0.06) | 2 例(0.06) |
好酸球増多(症) | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
白血球増多(症) | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
一般的全身障害 | 12 例(12.37) | 162 例(4.69) | 174 例(4.90) |
顔面浮腫 | 1(1.03) | 3(0.09) | 4(0.11) |
胸部苦悶感 | - | 2(0.06) | 2(0.06) |
頭痛 | 2(2.06) | 1(0.03) | 3(0.08) |
腰痛 | - | 2(0.06) | 2(0.06) |
発熱 | 3(3.09) | 19(0.55) | 22(0.62) |
腹痛(注入中) | 2(2.06) | 107(3.10) | 109(3.07) |
腹痛(注入後) | 7(7.22) | 49(1.42) | 56(1.58) |
CRP 上昇 | - | 1(0.03) | 1(0.03) |
部分の数字は副作用発現症例数(%)を示す。(バイエル薬品社内集計)
承認時及び使用成績調査での調査症例648例中6例(0.9%)に副作用が認められ、主な副作用は発疹2件(0.3%)、瘙痒感2件(0.3%)、嘔気2件(0.3%)等であった。(再審査終了時)
承認時及び使用成績調査での調査症例637例中5例(0.8%)に副作用が認められ、主な副作用は発疹3件(0.5%)、疼痛2件(0.3%)等であった。(再審査終了時)
造影剤の副作用を予知する方法は確立しておらず、一定の頻度で発現することが知られている。また、稀ではあるが重篤な副作用も発現することがあるので、造影剤の投与に際しては常に救急処置の準備が求められる。 脳・脊髄造影で、大量に頭蓋内に流入した場合には、痙攣発作の発現のおそれがあるので、フェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を24~48時間経口投与すること。
造影剤の副作用を予知する方法は確立しておらず、一定の頻度で発現することが知られている。また、稀ではあるが重篤な副作用も発現することがあるので、造影剤の投与に際しては常に救急処置の準備が求められる。 脳・脊髄造影で、大量に頭蓋内に流入した場合には、痙攣発作の発現のおそれがあるので、フェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を24~48時間経口投与すること。
放射線診療において準備しておく治療薬および器具は、それぞれの施設で放射線科医の技量および緊急蘇生医等の緊急対応度により異なってくる。緊急を要するアナフィラキシーに対する治療薬を第一選択に準備する必要がある。また、使用量・使用法を添付しておくことが緊急時の投与ミスを防ぐ。
アドレナリン(1mg/mL):0.3mg(0.3mL)筋注
(エピペン®成人用:0.3mg自動注入)
輸液(生理食塩液、リンゲル液)
アトロピン硫酸塩(0.5mg/mL):1アンプル静注
フェニレフリン塩酸塩 (1mg/mL):生理食塩液10倍希釈にて0.1mgずつ静注
エフェドリン塩酸塩(40mg/mL):生理食塩液10倍希釈にて4mgずつ静注
グルカゴン(1mg、1mL溶解液):1mgを2分間で静注
ステロイド:メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、プレドニゾロン
ヒスタミン遮断薬:ジフェンヒドラミン塩酸塩、ラニチジン塩酸塩
β2作動薬:定量噴霧吸入器(インヘラー)
○パルスオキシメータ ○血圧計 ○心電図 ○除細動器・AED
○酸素・酸素吸入器 ○定量噴霧吸入器
投与量と投与方法の如何にかかわらず過敏反応を示すことがある。本剤によるショック等の重篤な副作用は、ヨード過敏反応によるものとは限らず、それを確実に予知できる方法はないので、投与に際しては必ず救急処置の準備を行うこと。
アドレナリンは造影剤によるアナフィラキシーおよびショックにおける第一選択薬として重要である。アドレナリンはαおよびβ受容体刺激作用を持ち、α刺激作用は、末梢血管拡張抑制作用により昇圧作用を示し、さらにその血管収縮作用は血管浮腫および蕁麻疹の軽快につながる。β刺激作用は陽性の変力作用および変時作用をあらわし、心収縮力を増強するとともに、気管支収縮を抑制する。また、細胞内cyclic AMP濃度を高めることにより、各種炎症細胞からのケミカルメディエーターの放出を阻害する。
アナフィラキシーの第一選択薬として重要であるものの、大量の投与はhyperadrenalism(高血圧や頻脈)を引き起こし、脳出血や心筋虚血の危険性も併せ持つ。急変時は、0.3mgを筋注し、反応を見ながら、5分毎に同量を追加していく方法が行われる。アナフィラキシー補助治療剤として一般に販売されているエピペン®は、キャップをとって、大腿前面に押し当てると自動的にアドレナリン(0.3mgまたは0.15mg、各0.3mL)が筋注される用具であり、放射線診療においても緊急対処用に安全かつ有効に使用できると考えられる。
静脈路の確保は、急変時の各種治療薬投与や急速な循環血液量増加目的に必要である。急速輸液のためには、20ゲージ以上の太い留置針の確保が望まれる。造影剤静注後は、通常細胞外液組成のリンゲル液(乳酸、酢酸、炭酸添加のいずれでも)で維持されるが、急変時にはまず全開急速投与を行う。造影剤注入後に静脈路を閉塞していた場合や注入中に急変が発生した場合は、造影剤注入路と別の静脈路確保が必要となる。また、出血など明らかな循環血液量減少時や昇圧薬に抵抗性の低血圧が持続する場合は、昇圧薬の再投与とともに、血漿増量剤としての膠質液(HES、低分子デキストラン)の急速投与も考慮するが、それ自身がアレルギー反応を起こしうることに注意が必要である。
酸素投与はあらゆる急変に重要である。迷走神経反射、低血圧、心筋虚血など造影剤によらない緊急事態では、低酸素症が主要な合併症となり、また、治療としてのアドレナリン投与等は低酸素症の原因となりうる。鼻カニューラや通常のフェースマスクでは、高流量の酸素を使用しても吸入酸素濃度をあまり上昇させることができないため、非再呼吸タイプのマスクや酸素リザーバーが付いたマスクが役に立つ。自発呼吸停止の可能性を考えると、リザーバをもったアンビューバック、ジャクソンリース回路、麻酔器を準備しておくことが望ましい。いずれの場合も、呼気ガスを再吸入させないために、通常の分時換気量の2倍ほどの高流量(6-12L/分)酸素供給装置の準備が望まれる
パルスオキシメータは呼吸・循環系の簡便かつ有用なモニタとして診療中はつねに装着すべきである。バイタルサインのチェックには脈の確認から血圧の測定および心電図波形の確認が重要である。また、心室細動・心室頻拍の出現時には一刻も早い除細動が不可欠となる。しかしながら、蘇生非専門医にとって、心電図波形の確認および除細動器使用は時間を要することが推察される。AED(automated external defibrillator)は音声指示に従って2枚の電極を装着すると自動的に心電図解析と除細動を行う機器であり、蘇生非専門医にとっては迅速かつ安全な器具として有用であろう。
また、最近の除細動器は、このAEDモードを備えており、心電図モニター画面、パルスオキシメータ、体外式ペーシング等を併せ持っている。
製品名 | イソビスト注240 | イソビスト注300 |
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容量 | 10mL | 10mL |
包装単位 | 5 瓶 | 5 瓶 |
製品名 | イソビスト注240 | イソビスト注300 |
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統一商品コード | 341104290 | 341104306 |
JAN コード | 4987341104290 | 4987341104306 |
GS1-RSS コード(販売包装単位) | 14987341104297 | 14987341104303 |
HOT 番号 | 1118711020101 | 1118704020101 |
薬価基準収載医薬品コード | 7219414A3039 | 7219414A2032 |
レセプト電算コード | 620003697 | 620003698 |
使用期限 | 5 年 | 5 年 |
製造販売承認 | 2006年1月30日 | 2006年2月16日 |
薬価基準収載 | 2006年6月9日 | 2006年6月9日 |
発売年月日 | 1987年8月28日 | 1991年12月9日 |