画像診断機器関連情報メールマガジン Vol.23

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8月は例年通りの猛暑で9月に入っても残暑は厳しく、体調など崩されておりませんでしょうか。
今号では一段と普及が広まってきているCTコロノグラフィー(以下CTC)検査について前処置と検査法のご紹介を、MRIトピックスではコヒーレント型GREシーケンスについてご紹介いたします。


1.CTC検査の前処置とその比較

CTC検査で前処置を行う目的はポリープと混同しやすい残便をできる限りなくすこと、そして病変や大腸壁を隠してしまう残液を最小限の状態にすることです。
以下に代表的な前処置方法を記載します。

代表的な前処置法 薬剤 飲用量 ポイント
ブラウン変法
(高張法)
クエン酸マグネシウム 150-200mL 注腸検査前に用いられる
飲量が少ないため患者負担が少ない
腸管内の残液が少ない
腸管壁に残便が付着しやすい
ゴライデリー法
(等張法)
ポリエチレングリコール 1500-2000mL 内視鏡検査前に用いられる
洗浄力が高いため残便が残りにくい
飲量が多いため患者負担が大きい
腸管内に残液が溜まりやすい

ブラウン変法のメリットはゴライデリー法に比べ被検者の飲用量が圧倒的に少なくてすみ、被検者負担を少なくできることが大きなメリットとなります。
ただブラウン変法では腸管内に残便が残りやすいというデメリットがあり、残便はポリープなどの病変と見間違えてしまう偽陽性の原因となります。

このデメリットを解消するためにタギングという手法を用いることがあります。
タギングとは経口造影剤を検査数日前から食後に摂取します、その造影剤が便や腸液と混ざり合うことで病変や大腸部分とのコントラストをつける手法です。
日本でも2016年に大腸CT用経口造影剤が販売されましたので、今後この手法が広く用いられていくのではないかと思われます。

一方でゴライデリー法のメリットは偽陽性のもととなる残便を極力少なくできることです。
ただし上記の通り被検者の飲用量は2000mLにもなることがあるため、大変な苦痛をともないます。
私も2000mLの水分を一度に摂取した経験がありますが、非常に大変な作業で飲み続けること自体が苦痛かつ、飲み終わった後はおなかの膨満感で気分が悪くなってしまいました。

しかしこの飲用量によりゴライデリー法は効果を発揮しますので、CTC検査の為に来院された被検者が全量を飲めなかった場合、前処置での腸管洗浄不足でCTC検査が中止、もしくは撮影不良になる可能性があります。

最近ではゴライデリー法の飲用量をCTC用に改良し、軽減させた手法も見られます。
この場合、前日の夜と当日朝に400mL程度の量を飲むことが一般的なようです。

CTC検査は、日本でも2012年1月より保険適用となってから5年が過ぎ、限られた施設での検査法から一般的な検査法になってきています。

今後も検査法が実施しやすく改良されていくことで、注腸検査や内視鏡検査などと同じく大腸がん検査の選択肢の一つとしてますます普及していくと考えられます。

2. CTC検査の特徴と活用法

CTC検査は大腸がんの検査法として注腸検査や大腸内視鏡検査にはない特徴があります。
その特徴をいくつかあげてみます。

CTC検査の特徴
一度の検査で仮想内視鏡画像や注腸類似画像を作成できる
他の検査と比較して術者の技術差に影響を受けにくい
内視鏡検査では確認できない大腸ひだの裏側や狭窄部位の奥も観察ができる
造影検査を同時に行うことで、術前診断での大腸周辺の血管走行と病変の位置関係を把握できる
短時間で検査が行える(10-15分程度)
注腸検査と比べた場合、一般的には被ばくが少ない
注腸検査と比べた場合、体位変換が少ない
5mm以下の病変や扁平な病変の描出が難しい
CTC専用の読影技術が必要になる
組織検査や治療ができない
内視鏡検査と比べた場合被ばくがある

現在CTC検査は大きく分けて3種類の運用が考えられますが、その実例をご紹介します。

①人間ドックなどでの健康診断目的
人間ドックなどでは内視鏡検査に比べて受診者の抵抗感が少ないと考えられ、特に女性の受診者や内視鏡検査で苦痛を感じた方への選択肢として
②便潜血反応陽性患者の一次精査目的
精査目的での内視鏡検査の予約が長期間埋まっている場合、まずはCTC検査を行い内視鏡検査を実施するかのふるい分けとして
もしくは内視鏡検査をおこなった際に狭窄部位があり、そこから奥が観察できない被検者への検査方法として
③術前の病変部位確認・血管走行シミュレーション
造影検査をCTC検査と同時に行うことで、大腸の病変部と周辺の血管走行を同時に描出するため
転移や他臓器への浸潤、リンパ節転移の確認を行うため

このようにCTC検査の数ある特徴を検査のタイミングや他の検査法とミックスすることで、被検者にも検査実施者にもメリットが出る検査法になると思われます。

3. MRIトピックス-コヒーレント型GREシーケンスについて-

GRE Sequence(SSFP)

前回、Spoilerを用いたインコヒーレント型GREシーケンスとして、T1強調画像をより有効に撮像するために開発されたシーケンス(FLASH, SPGR, T1-FFE, Fast FE, SARGE)を紹介しました。

今回はコヒーレント型GREシーケンスについて考えてみます。コヒーレント型GREシーケンスはいわゆるbalanced(True FISP, Balanced FFE, FIESTA等)と呼ばれ、傾斜磁場の3軸において時間積分がゼロになるように設計されています(図1)。これにより、横磁化の位相が保持された状態(定常状態)で信号として取り出すことができます。

GRE Sequence(SSFP)図1
図1

画像コントラストは一般的にT2*/T1に依存するといわれ、T2*強調画像に似て異なるものであり、造影剤を用いるとT1の増強効果が得られることもあります。

Balancedシーケンスの生い立ちはEPIと似ているところがあります。基本概念の提案は古くからあるにもかかわらず、実装するにはハードウエアの進歩を待っていたところがソックリといえます。完全にbalancedされるまで代替えシーケンスとして、順次発展して来ており、これらはrewinderを用いたインコヒーレント型シーケンスとして分類できます。

当初はFISP, GRASSとして位相方向のみリワインドされていました。より強い水強調(長い横磁化成分の反映。主に水成分)としてTRの倍のTEとするPSIF, CE-FASTが開発されました。FISP信号とPSIF信号を画像上で足し合わせるDESSや、位相操作によるCISSなど多くの手法がその時代のハードウエアに合わせて提案されてきました。

いずれの手法であってもSSFP(Steady-state Free Precession)の状態を作り、横磁化の保持により(減衰させない)信号を得ようとしています。その時の撮像条件として、撮像対象のT2値より極端に短いTR・短いTEそして大きなFA(degree)を設定する必要があります。

この条件下において、シーケンスの設計目的を果たしたコントラストが得られます。T2値の長い脳脊髄液などの水成分が高信号に描出されています(図2)。

GRE Sequence(SSFP)図2
図2

一方、十分長いTRを設定すると、残留横磁化が減衰しSSFPのコントラストは得られず、両シーケンス共にいわゆるT2*強調のコントラストとなります。

GRE Sequence(SSFP)図3
図3

T1強調、SSFPの各々を有効に撮像できるように設計されているシーケンスでも、その条件下から外れると普通のGREシーケンスとなり、同じコントラストを得ることができます。
MRIには多くのシーケンスが様々な特徴を持って準備されています。その特徴を生かすためにも、使用するシーケンスの設計思想に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

編集後記

いかがでしたでしょうか?今号ではCTC検査についてポイントとなる2種類の前処置法と、検査目的ごとのCTC検査の特徴を紹介いたしました。
またMRIトピックスでは前号で紹介したインコヒーレント型GREシーケンスに続き、コヒーレント型GREシーケンスの紹介を行いました。
次号で2016年配信も最後となりますが、引き続きご愛読宜しくお願い致します。

L.JP.MKT.RI.08.2016.1161