画像診断機器関連情報メールマガジン Vol.16

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今号では6月に発表された我が国初の診断参考レベル(Diagnostic Reference Level : DRL)の話題、そして同じく6月30日発売の新しいMRI用造影剤『ガドビスト静注1.0mol/L(以下、ガドビスト1.0M)』の話題をご紹介いたします。


1.医療放射線線量管理の話題

2015年4月16日(木)から19日(日)までパシフィコ横浜にてJRC2015が開催されました、今回の学会で4月18日に開かれた医療被ばく研究情報ネットワーク(Japan Network for Research and Information on Medical Exposure: J-RIME)の総会にて、我が国初の医療被ばくに対する診断参考レベル(diagnostic reference level: DRL)案が発表され、「X線・CT検査 病院で線量に差」「CT線量病院で10倍差」などの項目が翌日の新聞一面を飾ったことは記憶に新しいかと思います。

そして2015年6月7日にはモダリティ毎に提案されたDRL案が、各関連学会により承認され日本の正式なDRLとして適用され、J-RIMEのホームページ上で公表されています。
CT検査に関しては、成人と小児について提案され、成人は日本医学放射線学会と日本診療放射線技師会が調査してまとめた結果を、小児は日本放射線技術学会の調査班と日本診療放射線技師会がまとめた結果をもとに作成されました。CTのDRLは、CTDIvolとDLPが指標とて採用されています。

設定された診断参考レベル

  • X線CT(成人・小児)
  • 一般撮影
  • マンモグラフィ
  • 口内法X線撮影
  • IVR
  • 核医学

CT-DRL

しかし一方で4月19日の新聞1面に掲載されたことでDRLの数値のみが注目され、その単位や等価線量を実行線量と誤認してしまう可能性も指摘されています。
『診断参考レベルは、各施設が検査で実際に用いている線量と比較するためのものなので、容易に測定可能な量、通常は空気中の吸収線量、あるいは単純な人体模型や代表的な患者の表面における吸収線量を使います。私たちになじみのあるシーベルトではありませんし、被ばく線量そのものでもありません。』1)
J-RIMEや各関連団体からの発表にもありますが、この数値の正しい使用目的を医療従事者、メーカー、患者様等が正確に理解をする必要があると考えられます。

今後どのように線量管理を行っていくか?

現在のCTやIVR装置にはRDSR(Radiation Dose Structured Reports)が出力できるようになっています。RDSRには各モダリティから線量情報が出力され、DICOMデータとして管理を行うことができるようになっています。
被ばく線量を撮影した後に確認するだけ、またはexcelなどに手入力でデータを管理する方法はありますが統計的なデータを得るためには大変な労力を要し、煩雑になってしまいます。
しかし線量管理には、患者様個人の蓄積線量管理、モダリティごとの線量把握・管理、検査ごとの線量管理など多岐にわたるため、この複雑な線量データを院内で自動的に一元管理する方法が必要になります。

海外ではこのようなニーズにこたえるため、被ばく線量管理システムなどの線量情報を扱うことに特化したシステムがすでに普及しています。(図1.2)

図1. 患者蓄積線量表示例画面
図1. 患者蓄積線量表示例画面
図2. しきい値が設定されている指標の機器別検査数グラフ
図2. しきい値が設定されている指標の機器別検査数グラフ

日本でも線量管理の需要が高まりつつある中、各メーカーが被ばく線量管理システムを開発し、現在一部の病院へ普及が始まっています。
日本人はもともと被ばくというものに敏感な部分もあり、今回日本初のDRLが発表され、ますます医療被ばくというものに注目が集まっています。
近い将来、放射線機器を扱うすべての病院に被ばく線量管理が求められる日も来るのではないでしょうか。

1)
http://www.nirs.go.jp/rd/structure/merp/j-rime.html

2.ガドビスト1.0M造影時の注入レート

MR検査に限らず、CTや超音波でも造影剤を使用した検査は頻繁に行われています。
一般的に、造影剤を使用することで、使用しない検査と比較して得られる情報が増えることにより、診断能の向上につながりますが、MR検査において使用されるガドリニウム造影剤には、全身の検査で用いられる細胞外液性造影剤の他に、肝細胞特異性造影剤であるEOB・プリモビスト(ガドキセト酸ナトリウム 略号:Gd-EOB-DTPA)のような造影剤もあります。
最近ではMR装置や撮像技術の進歩に伴い、造影剤を使用せずに検査が実施できるケースも増えてきましたが、造影剤を使用した検査による病変の検出率や、ベネフィットはご存じのとおりです。
MR検査では手押しにてガドリニウム造影剤を注入することも多いかと思いますが、オートインジェクターを使用した際のガドリニウム造影剤注入レート例は以下の通りです。

マグネビスト、EOB・プリモビストの注入レートおよび注入量例
マグネビスト、EOB・プリモビストの注入レートおよび注入量例

14年ぶりの細胞外液性造影剤:ガドビスト1.0M

新しい細胞外液性ガドリニウム造影剤である「ガドビスト®静注1.0mol/L(ガドブトロール 略号:Gd-BT-DO3A)」が本年3月製造販売承認を取得し、6月に発売となりましたが、製剤の特徴は次の3点です。

高いT1緩和能
1.0Mの高濃度製剤(従来の細胞外液性造影剤は0.5M)
マクロ環型構造を有する非イオン性造影剤

ガドビスト1.0M

これまでの0.5Mの細胞外液性造影剤と比較して、2倍の濃度であることから、これまでの検査時と同量のガドリニウム量を注入する場合、従来の投与量の半量(0.2mL/kg ⇒ 0.1mL/kg)、従来の注入レートの半分(例:3mL/sec ⇒ 1.5mL/sec)での投与が可能となります。また、従来の0.5M製剤と同様の注入速度で投与し、初回通過時に血管内の高い血中濃度を得ることもできます。
このような第2世代の造影剤が出てきましたが、それぞれの造影剤に適した使用方法で、注入レートをしっかりと使い分け、正しい造影検査を実施したいですね。

効能・効果、用法・用量。警告・禁忌を含む使用上の注意等については添付文書を参照してください。
ガドビストの添付文書/医薬品情報は下記リンク先にてご確認ください。

http://www.bayer-hv.jp/hv/products/product.php?cd=165

編集後記

いかがでしたでしょうか?今号では6月発表されました我が国初の診断参考レベル:DRLについてご紹介させていただきましたが、改めて医療被ばくの正当化と適正化の重要性を再認識致しました。
診断参考レベルが設定されたことにより、一つの目安として効率的に医療放射線・品質管理がされてくる現状が急激に伸びてくると感じさせられました。
また、新しく「ガドビスト1.0M」が出てくることで、安全で造影効果の高い検査が益々期待されています。
今後もより良い最新の情報を皆様へご提供できるよう努力してまいります。

L.JP.MKT.RI.07.2015.0764