画像診断機器関連情報メールマガジン Vol.9

平素より画像診断機器関連情報メールマガジンをご利用いただき誠にありがとうございます。
緑鮮やかなうるわしい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
また、4月に開催された日本医学放射線学会総会、日本放射線技術学会総会学術大会、日本医学物理学会学術大会学会、お疲れ様でした。
2014国際医用画像総合展の弊社ブースでは造影剤の自動注入器だけではなく、注入履歴や線量管理を行う情報管理分野での製品、炭酸ガス自動注入装置を展示致しました。ご興味・お問い合わせ等ございましたら、ぜひご連絡ください。
今月号では、学会でも多くの発表があり、近年注目されているCTコロノグラフィについてご紹介させていただきます。


1. 大腸がん検診の動向

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、平成23年の死因のうちトップは悪性新生物で、昭和56年以降死因の順位は第1位で全死亡者に占める割合28.5%、つまり全死亡者の3.5人に1人が悪性新生物で死亡したことになります。(死亡者数は357,000人)※1)

1.大腸がん検診の動向

1位 2位 3位 4位 5位 大腸がん詳細
男性 大腸 肝臓 膵臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸8位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸9位

悪性新生物の主な部位別にみた死亡数

このうち大腸がん(結腸がんと直腸S状結腸移行部および直腸のがんの合計)による死亡数は45,744人、男性は24,862人、女性は20,882人、平成23年現在、がんによる女性の死因では第1位となっています。 早期発見によって良好な予後が期待できる疾患であるにもかかわらず、平成22年に実施された「国民生活基礎調査」によると、大腸がん検診の受診率は、男性が27.4%、女性が22.6%と低い割合にとどまっています。※2)
これを受け、平成24年6月に見直された「がん対策推進基本計画」では、平成28年までのがん検診受診率の目標は、これまでと変わらず50%に設定され、5年間で40%の40~69歳の国民が大腸がん検診を受診することを目標に掲げました。※3)
大腸がんの1次検診としては便潜血検査が職場や自治体で広く実施されています。便潜血検査で陽性と診断された場合、精密検査として内視鏡検査や注腸造影検査が行われて来ました。しかし、精密検査の受診率は以下の理由によって60%前後にとどまっています※4)

  1. 前日からの準備に対する抵抗
  2. 検査時間が30分程度かかる
  3. 服用する薬剤によって検査後も苦痛が続く

これらの苦痛を軽減し、より短時間で実施できる精密検査の方法として近年注目されているのが、CTコロノグラフィ(仮想大腸内視鏡)です。

1. 大腸がん検診の動向

CTコロノグラフィは、被検者の大腸を気体で拡張し、CTでスキャンし、そこから得られる1000枚以上の画像を解析することによって大腸内部を診断する検査方法です。実際に腸管に内視鏡を入れることなく病変を見つけることが出来るため、検査中の苦痛が少なく、検査に要する時間も15分程度と従来の検査方法に比べると短いことが特長です。次のような流れで検査が行われます。

  1. 被検者の大腸を空気やCO2で拡張
  2. CTを用い腹臥位でプレスキャン
  3. 大腸の拡張を確認し、拡張が足りない場合はCO2を追加注入
  4. 十分に大腸が拡張されたことを確認して本スキャン
  5. 続いて、腹臥位同様に仰臥位でプレスキャンを行い、大腸の拡張状態を確認した上で本スキャン
    ※仰臥位と腹臥位の撮影(スキャン)順番は施設により異なります。

平成24年より大腸のCT撮影加算が認められたため、国内でも実施される施設が増えています※5)。腸管への吸収性が空気の130倍ともいわれるCO2を用いることによって、検査後の被検者の身体的苦痛を軽減できます。また、他の方法に比べると検査に要する時間が短いことから、より多くの精密検査を実施することができます。現在、国内では4社がCTコロノグラフィに使用できる炭酸ガス自動注入装置を販売しており、大腸がんによる死亡率増加に歯止めをかけるためにも、炭酸ガスを用いたCTコロノグラフィに期待が寄せられています。

参考文献

※1)
人口動態統計の概況(平成23年)
※2)
国民生活基礎調査(平成22年)
※3)
がん対策推進基本計画(平成24年)
※4)
日本消化器がん検診学会全国集計委員会報告(平成22年)
※5)
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成24年3月5日 厚生労働省告示第76号)

2.CTコロノグラフィの実際

CTコロノグラフィでは、大腸を拡張させる為に、炭酸ガス自動注入装置が使用されています。この炭酸ガス自動注入装置では、注入圧力や注入速度の設定をし、被検者にとって負担が少ないCO2を注入することができます。注入圧力の設定方法は、ご施設で工夫されておられますが、今回は、その中より被検者のBMIに応じて設定圧力を設定する方法をご紹介させていただきます。

現在行われている圧力設定に関しては以下の方法があります。

一定の圧力下(圧力固定)での使用(例:20mmHg固定など)
被検者のBMIから算出した設定圧の変更

今回はBMIによる圧力設定をご紹介いたします。
BMI(Body Mass Index)=体重/(身長×身長)
日本肥満学会ではBMI22を標準体重としており、25以上を肥満、18.5以下を低体重としています。

CTコロノグラフィの検査では体格による腸管の長さの長短、腹部の脂肪による腹圧など、様々な条件で撮影に最適な腸管拡張を得るための圧力が異なってきます。
BMIを基準に設定を行う方法では、以下表1の通りに圧力を設定いたします。

BMI 目標設定圧
20以下 20mmHg
21~24 25mmHg
25以上 30mmHg

表1) BMIを基準にした目標設定圧値

CO2注入時、BMIの高い被検者に標準目標設定圧20mmHgでCO2注入を試みると、腸管内圧抵抗が強く実際の圧力表示は大抵15mmHg前後の高い数値を示しながら変動を繰り返します。
実際の圧力表示が高い数値を示したまま注入を続けると、速く目標設定圧に到達し、持続的なCO2注入が止まり十分な腸管拡張が得られなくなります。実際の圧力表示を確認しながら連続的に10mmH以上の高い数値を示す場合は目標設定圧を上げ、実際の圧力表示の数値が10mmHg以下の変動を示すことを確認しながら、CO2注入を行うことを推奨します。※6)
また、注入圧力固定で注入を行った場合、小腸の容積や腹圧が患者間で異なるため、小腸へのガス流入による苦痛、拡張不足が発生してしまいます。

炭酸ガス自動注入装置では、CO2注入開始からCT撮影終了まで持続的なCO2注入を行い、検査施行途中での腸管のCO2吸収分を補い、十分な腸管拡張を維持できます。このBMI法による注入圧力の設定は、圧力表示ソフトウェアを使用し、CO2注入レートを記録しながらCTC検査を施行した例を解析し、作成されました。

参考文献

※6)
國枝栄二ほかCTコロノグラフィ:CO2自動注入器を使用した大腸拡張法の検討
Rad Fan Vol.10 No.8(2012)

編集後記

今回のメールマガジンいかがでしたでしょうか?
CTコロノグラフィの話題は、学会での発表、そして保険点数改訂等、今後ますます注目の集まる分野となることが予想されます。
また2014国際医用画像総合展では、今回ご紹介いたしました炭酸ガス自動注入装置も展示させて頂き、多くの先生方からお問い合わせを頂きました。弊社ブースへお越しいただき誠にありがとうございました。
陽ざしも少しずつ強くなってきましたが、十分に水分補給を意識するなど、アクティブに活動する準備を整えていきたいと考えています。

次号は、夏真っ盛りの7月に配信させていただきます。

L.JP.MKT.RI.05.2016.1086