心筋コントラストエコー法経静脈性造影剤を臨床で活用するために

監修:桜橋渡辺病院 伊藤 浩先生

ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能・効果、用法・用量、警告、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意につきましては、添付文書をご参照ください。

心筋染影を得るために

経静脈的に投与可能な超音波造影剤レボビストでは、造影剤の微小気泡を十分に心筋組織に充満させ、強い超音波シグナルを照射することにより心筋染影を得ることが基本的な考え方になります。

心筋染影を得るために

経静脈性心筋コントラストエコーの条件設定例

〔 ハーモニックパワードプラ(SONOS 5500) 〕
送信/受信周波数 1.8/3.6MHz
Mechanical Index 1.6
アンジオフィルタ 4
PRF 3-4KHz(深さで可変:12cmでは3.9KHz)
ゲイン 40-50%(心筋にノイズがのらない程度)
トリガ 4心拍に1回
トリガ時相 収縮末期 MFTでは約100msec手前にトリガをかける
カラーマップ F(弱いドプラ信号を強調)
カラーマップ上の
threshold
パケットサイズ medium(1ラインの送信回数8回)
フレームレート 10-12Hz
フォーカス 左室中央あるいは僧帽弁輪部(心尖部のアプローチ)
カラー表示範囲 対象とする心筋領域を含む最小の範囲
Angio Priority ON(白黒の構造信号よりカラーを優先表示)
Adaptive Angio OFF(さまざまな周波数を用いたドプラ信号を使用しない)
MFT 基本的に併用する
MFT= multi-frame triggering
PRF= pulse repetition frequency
※装置のバージョンにより条件設置が若干異なることがあります

心筋梗塞の診断

心筋梗塞を評価するためには、染影のピーク時よりやや遅れた時相(至適時相)を観察していきます。

  • 心筋梗塞の診断
  • 心筋梗塞の診断

染影効果がピークの時点では心筋全体に染影が認められ梗塞領域の評価は困難である。
さらに観察を続け、染影効果が減弱した「至適時相」では、フラッシュ像において心尖部の梗塞領域がコントラスト欠損部位(矢印)として明瞭に描出される。(送信間隔:4心拍に1回)至適時相の決定にはMFT法※を利用し、初めに超音波を照射した像(フラッシュ像)と、規定のフレーム(2~3フレーム)超音波を連続照射した像(バブル破壊像)とを並列表示する。フラッシュ像で心筋が染影され、バブル破壊像で染影が消失していれば血流信号を表し、両方の像で心筋染影が認められれば心筋の造影剤が過剰であるか壁運動によるアーチファクトと考えられる。
※MFT:multi-frame trigger 法(SONOS 5500に搭載)

心筋虚血の診断

心筋虚血の診断では、ジピリダモール負荷前後の狭窄冠動脈領域における心筋染影性の変化を、短い送信間隔で観察していきます。

心筋虚血の診断

心筋染影性は超音波の送信間隔を長くするほど強く現れる。ジピリダモールなどの薬剤負荷によりスティール現象を誘発すると、正常領域への心筋血流の供給が増加し、狭窄領域では相対的に低下するため、心筋染影性に差異が認められるようになる。送信間隔が短いほどその差異は顕著となる。

心筋虚血の診断 症例1 前壁の心筋虚血

負荷前

4心拍1回
4心拍1回

ジピリダモール負荷後

  • 2心拍1回心尖二腔断面
    2心拍1回
    心尖二腔断面
  • 1心拍1回
    1心拍1回

左前下行枝に99%ステント内再狭窄を認めた症例。
ジピリダモール負荷前に4心拍に1回の送信間隔で観察した時には明らかな染影性の低下は認められないが、負荷後2心拍に1回の送信間隔で観察すると、左室下壁に染影性のやや低下した領域が認められた。
1心拍に1回の送信でこの部位のコントラスト欠損が明瞭に認められた。

心筋虚血の診断 症例2 下壁の心筋虚血

負荷前

4心拍1回
4心拍1回

ジピリダモール負荷後

  • 2心拍1回心尖二腔断面
    2心拍1回
    心尖二腔断面
  • 1心拍1回
    1心拍1回

右冠動脈に2箇所の90%狭窄を認めた症例。
ジピリダモール負荷前に2心拍に1回の送信間隔で観察した時には明らかな染影性の低下は認められていないが、負荷後2心拍に1回の送信間隔で観察すると、左室下壁に染影性のやや低下した領域が認められた。
1心拍に1回の送信でこの部位のコントラスト欠損が明瞭に認められた。

【使用上の注意】

2.
副作用
(静脈内投与)
総症例1,217例中93例(7.6%)に副作用が認められ、主な副作用は注入部疼痛37件(3.0%)、ほてり21件(1.7%)、注入部冷感13件(1.1%)等であった。(承認時)
市販後使用成績調査2,895例中36例(1.2%)に副作用が認められ、主な副作用は注入部疼痛10件(0.3%)等であった。(再審査終了時)