膵漿液性嚢胞腫瘍におけるガドビスト造影MRIの有用性

熊本大学医学部附属病院 放射線診断科
浪本 智弘 先生

ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能・効果、用法・用量、警告、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意につきましては、
添付文書  をご参照ください。

はじめに

膵漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm; SCN)は,膵嚢胞性腫瘍の4~10%を占める比較的稀な腫瘍である.
男女比は1:2程度で女性に多く,膵体尾部に多い特徴がある.悪性化は非常に稀であり,正確な診断と経過観察が重要である.典型例は,多数の嚢胞が蜂巣状に集簇したmicrocystic typeでSCNの70~80%を占め,稀に数個の粗大嚢胞が集簇したmacrocystic typeも認められる.Microcystic typeは,MR胆管膵管撮影(MRCP)で腫瘤全体に微細な嚢胞構造の集簇を認め,膵管との交通を認めず,ダイナミックMRIでは嚢胞壁が漸増性に濃染されるといった特徴的な画像所見を示す.

ガドビストを用いたMRI検査の方法

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

使用装置と造影剤の投与方法

症例

症例背景とMRI検査の目的

70歳代.女性.6年前より膵の嚢胞性腫瘍をフォローアップ中であった.CTにて緩徐な増大傾向を認めたため,精査目的でMRI検査が施行された.

図1.T2強調画像 図2.MRCP画像 図3.造影前脂肪抑制T1強調画像(Dynamic Pre)

図4.Dynamic MRI(動脈相)図5.Dynamic MRI(後期相)

図6.参考:マグネビストを用いたDynamic MR(I A:動脈相,B:後期相)

本症例におけるガドビスト造影MRIの有用性

膵漿液性嚢胞腫瘍の診断には,ダイナミック造影による早期の増強効果と微細嚢胞隔壁の増強効果が後期相まで持続し,漸増性に増強される範囲が拡大することが重要である.今回のガドビスト造影MRIは,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や粘液性嚢胞腫瘍(MCN)といった他の嚢胞性腫瘍との鑑別に有用であった.特に,後期相の増強効果が持続している印象であり,微細な隔壁構造の描出が可能であった.
本症例では,この画像診断結果に基づき,腫瘍に増大傾向があるものの,今後もフォローアップしていく方針となった.

使用上の注意

4.
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること.

L.JP.COM.RI.04.2016.1042