乳癌の術前広がり診断におけるガドビスト造影MRIの有用性

東京医科歯科大学医学部附属病院 放射線診断科
久保田 一徳 先生

ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能・効果、用法・用量、警告、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意につきましては、
添付文書  をご参照ください。

はじめに

乳癌の術前診断において,乳房MRIで確実な病変の広がり診断をおこなうことは,乳房温存療法を施行するうえで重要である.確実な診断には背景乳腺の増強効果が弱いことが望ましく,病変が明瞭に描出されることが重要である.また,精査不要な良性病変は明確に良性と診断できる必要がある.

ガドビストを用いたMRI検査の方法

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

手順と撮像 Sequence Parameter

使用装置と造影剤の投与方法

使用装置と造影剤の投与方法

症例

症例背景とMRI検査の目的

50歳代.女性.左乳房外側上部に腫瘤を自覚.マンモグラフィおよび超音波にて境界不明瞭な腫瘤像を認め,針生検にて浸潤性小葉癌と診断された.術前の広がり診断を目的にMRIが施行された.

図1.マンモグラフィ(MLO)

図2.Dynamic MRI (MIP画像,早期相,正面)

図3.Dynamic MRI (MIP画像,早期相,頭尾方向)

図4.Dynamic MRI(早期相,頭尾方向)

図5.Dynamic MRI(後期相,頭尾方向)

図6.Dynamic MRI(後期相,頭尾方向)

図7.T1強調画像(頭尾方向)

本症例におけるガドビスト造影MRIの有用性

本症例では,MRI所見をもとに乳房温存療法が施行され,手術結果は断端陰性であった.
乳房造影MRIによる病変の検出能は高く,BI-RADSに準じた診断方法が推奨されている.術前の検査においては,副病変の検出や病変の広がりを適切に評価するうえで,有用性が高いと考えられる.一方で,過剰な診断・治療を避けるため,線維腺腫や乳房内リンパ節といった精査の不要な良性病変を,形状・造影パターンや脂肪含有の有無をみることなどによって,典型的な画像所見から確実に診断することも重要である.