フェムビューを用いた超音波子宮卵管造影3

藤野婦人科クリニック
藤野 祐司 先生

卵管通過性の評価法の中で、フェムビューを用いた超音波検査は、ヨード造影剤の使用や放射線被曝の心配がないこと、また特別な装置を準備する必要がなく、経膣超音波装置が設置されているクリニックで手軽に実施できること、さらに患者様の身体的な負担が軽いことなど、多くのメリットがある。
当クリニックでは、不妊治療・診断の一環として、卵管通過性の評価にフェムビューを用いた超音波子宮卵管検査を実施している。

使用目的、効能又は効果、操作方法又は使用方法等、警告、禁忌、禁止を含む使用上の注意等製品に関する情報は、製品添付文書および取扱説明書をご参照ください。
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症例1

患者背景

28歳。妊娠歴無し。結婚歴1年。月経周期28日型。
クラミジア抗体陰性IgG;0.10、IgA;0.19。
月経10日目にフェムビューにて卵管検査実施:加圧後約30秒で卵管通過性確認。また、約90秒後には卵管采から腹腔内への気泡の流出を確認。(使用機器: 日立 Noblus)

症例1

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症例2

患者背景

33歳。妊娠歴無し。結婚歴1年。月経周期27日型。
クラミジア抗体陽性IgG;1.64、IgA;1.55 (既治療)。
月経8日目にフェムビューにて卵管検査実施:卵管通過性左右良好。(使用機器: 日立 Noblus)
タイミング治療で自然妊娠。

症例2-1

症例2-2

症例3

患者背景

45歳。妊娠歴無し。結婚歴6年。月経周期26日型。2年前に他院にて粘膜下筋腫切除(レゼクトスコープ)初診時、約30mmの筋層内筋腫を認める。
クラミジア抗体陰性IgG;0.21、IgA;0.19。
月経7日目にフェムビューにて卵管検査実施:卵管通過性は右側良好、左側は筋腫による圧迫が原因かと思われるが通過性不明瞭。 (使用機器: 日立 Noblus)

症例3-1

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症例3-2

症例4

患者背景

42歳。結婚歴5年。第1子は4年前に自然妊娠、正常自然分娩。
月経周期30日型。
クラミジア抗体陰性IgG;0.41、IgA;0.28。
月経7日目にフェムビューにて卵管検査実施:左右とも通過性良好(使用機器:シーメンス SONOVISTA-C3000)

症例4-1

症例4-2

フェムビューを用いた超音波子宮卵管造影のポイント

検査・操作手技におけるポイント

検査前の患者さん処置

  • 可能であれば検査前周期にクラミジア抗体のチェックを実施し、クラミジア抗体陽性の場合はあらかじめ抗菌剤を内服してもらう。
  • 検査の実施手順についてあらかじめ十分に説明する。
  • 検査直前に排尿してもらい、膀胱を空虚にした上で検査を実施する。
  • 検査実施にあたり、鎮痛剤、鎮痙剤の前投薬の必要性は特にない。

検査前の準備

  • 子宮、付属器を十分観察して、卵巣の位置、卵巣嚢腫の有無、子宮筋腫の有無、頚管の向き・角度・長さなどをチェックする。
  • 子宮腟部、腟腔を消毒してからチューブを子宮腔内に挿入する。

検査の実施

  • 腟鏡をかけたまま、経膣超音波プローベを挿入し、画像上でチューブが子宮腔内に静置されていることを確認した後、造影源の注入を開始する。
  • 注入時にやや抵抗を感じることがあるが、強い圧力をかけるとチューブが逸脱することがあるので、適宜、子宮腔内への造影源の流入を確認して、チューブの逸脱が無いかどうかを確認する。
  • 一側ごとに卵管の通過性を観察する。両側の卵管通過性の確認はだいたい2分程度で終了することが多い。
  • 可能であれば動画を同時に保存しておくことで、検査後に再確認の必要が生じたときでも対応することができる。

検査後の患者さん処置

  • 検査終了後、出血が起こる可能性を説明し、抗生物質を予防的に2日間内服してもらう。
  • 検査当日の日常生活における制限は特に必要ない。

画像読影・診断におけるポイント

各ゾーンにおける読影のポイント

ゾーン 1
  • 正常の場合、子宮内腔の拡張が無く、子宮腔内は白色線状に描出される。
  • 画面上で子宮内腔から左右の卵管間質部への造影源の流入を注意深く観察する。
  • 卵管間質部の描出が困難な場合は、卵管口付近の内膜ポリープによる卵管口の閉鎖が疑われる。
    造影源である生理食塩水による子宮内腔拡張像とともに、内膜ポリープの確認を行う。
ゾーン 2
  • 卵管は蛇行していることから、卵管間質部からの造影源の流入が確認できれば、以後はプローベを注意深く操作・スキャンして、造影源の流れを見逃さないように観察する。
  • ゾーン2の描出は、早い場合は造影源の注入開始から数秒で確認されることがあるので、ゾーン1の描出からゾーン2の卵管走行の確認には速やかなプローベ操作が必要となることがある。
ゾーン 3
  • 卵管膨大部や卵管采の確認・同定にはやや難があるが、卵巣周辺における造影源のエコーを確認することで卵管疎通性を判断することができる。
  • 卵巣近辺の造影源流出のエコー画像は、卵管での明瞭な白色エコー像に比べて淡い所見となることが多く、判断がやや困難となる場合がある。

各ゾーンにおける読影のポイント

造影源の描出が十分でない場合、あるいは確認できない場合の対処

ゾーン 1
  • 子宮腔内のエコー像を確認し、カテーテルが子宮腔内から逸脱していないことを確認する。
  • 左右どちらか一方の卵管のみ造影源流入が認められる場合は、通常よりも造影源の量をやや多く、且つ、速く注入して、子宮内圧を高める。或いは、カテーテルの挿入部位を少し移動させて再度造影源を注入する。
  • 卵管開口部にポリープが存在しないか確認する。
ゾーン 2
  • ゾーン1からゾーン3に向かって横断的にスキャンし、プローベの深さや角度を調節しながら造影源の流れを観察する。
  • 腹壁を軽く圧迫してプローベをより対象臓器に近づけて観察する。
ゾーン 3
  • 卵管留水腫の有無を確認する。
  • 卵巣の癒着等があれば子宮後壁などに変位していることがあるため確認が困難となる。 卵巣の位置等を十分に確認、把握した上で評価する。
  • 子宮後屈の場合にも同様に確認し難いことがある。

禁忌・禁止

  1. 次の女性には使用しないこと:妊婦等、子宮卵管撮影が禁忌の女性。
  2. 再使用及び再滅菌しないこと:本品は1 回(1 症例)の使用に限る。