肝細胞癌に対するRFA治療後の再発診断におけるEOB・プリモビスト造影MRIの有用性

市立池田病院 消化器内科
今井 康陽 先生、井倉 技 先生、澤井 良之 先生、小来田 幸世 先生、福田 和人 先生

ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能・効果、用法・用量、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意につきましては、添付文書をご参照ください。

肝細胞癌治療におけるRFAの役割

本邦の科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドラインでは,肝障害度がAまたはBで,腫瘍が単発であれば腫瘍径にかかわらず肝切除が第1選択に推奨されているが,腫瘍径が3cm以内ならばRFAも選択肢となる.腫瘍数が2または3個で腫瘍径が3cm以内ならば肝切除またはRFAが推奨される.従って,RFAは腫瘍径3cm,3個以内が適応となっている.当院においても基本的にこの治療アルゴリズムに準じてRFA治療適応を決定している.
Hasegawaらは日本肝癌研究会の全国追跡調査をまとめ,肝障害度AまたはBで,3cm,3個以下の肝細胞癌を対象とした時,生存率,再発率ともに肝切除がRFA,PEIに比し有意に良好な成績であったことを報告している(J Hepatol2013).一方,本邦において6-7割の肝細胞癌がC型肝炎に起因するものであるが,C型肝炎患者が高齢化し,同時に肝細胞癌患者も高齢化している.このような肝細胞癌患者の高齢化に伴い,RFA治療を選択する機会が増加している.また,バイポーラRFAシステムの登場により,複数の治療針を穿刺することにより腫瘍に直接穿刺せず,腫瘍内圧を上昇させることなく焼灼することが可能となり(no-touch ablation),人口腹水と併用しながらの肝表面の肝細胞癌に対する治療,またマルチニードルによる治療などRFA治療の適応も広がっている.また当院では,慢性肝疾患における超音波検査による肝癌スクリーニングで発見された結節の精査,超高危険群における肝癌スクリーニングにおいて造影CTではなくEOB・プリモビスト造影MRI(以下EOB-MRI)を用いている.EOB-MRIは造影CTより,早期肝癌を含めた肝細胞癌の診断能が高く,腫瘍径の小さい段階での肝細胞癌が発見されることが多くなり,このような面からもRFA治療の機会が増加している.一方で肝細胞癌の肉眼分類において多結節癒合型は悪性度が高く,この多結節癒合型肝細胞癌の術前診断において,EOB-MRIや造影超音波の有用性が報告されており,画像的に多結節癒合型肝細胞癌が疑われれば,可能な限り手術を施行している.

RFA後の再発診断におけるEOB-MRIの有用性

肝癌に対するRFA治療後の再発は,年率15-20%程度とされ,いわば肝癌発生の超高危険母地であり,再発診断は極めて重要である.RFA後の再発診断のためのフォローアップ検査の間隔,診断法に関する十分なエビデンスはなく,画像診断と腫瘍マーカーによる定期的なフォローが一般的である.腫瘍マーカーではAFP,AFP-L3分画,PIVKA-Ⅱの2-3か月毎の定期的な検査が一般的と考えられる.画像診断では,我々は古典的な多血性肝細胞癌の診断,早期肝癌の診断におけるEOB-MRIの有用性を報告してきたが(Kogita et al.Eur Radiol 2010, Ohnishi et al. Eur Radiol 2012),その他EOB-MRIが造影CTより肝細胞癌の診断能が優れていることが多く報告されている.当院では,肝細胞癌に対するRFA後,基本的に3か月毎にEOB-MRIを施行している.EOB-MRIがRFA後の定期的フォローアップに適している理由として,その診断能の高さ以外にもいくつか挙げられる.造影CTと違い被曝がないこともその長所である.Toyodaらは肝細胞癌術後の患者においてEOB-MRI肝細胞造影相で乏血性低信号結節を有する患者は,有しない患者と比し再発率が高いこと,すなわち肝細胞癌発生のポテンシャルが高いこと,再発予測に有用であることを報告している(J Hepatol 2013).また最近では,fusion imagingがRFAの治療支援に使われることが多くなってきているが,その際にも,EOB-MRI肝細胞造影相がreference画像として有用であり,当院でも多くの症例でEOB-MRI肝細胞造影相をreference画像として用いている(Makino et al. Oncology 2013).また,我々は多血性肝細胞癌の根治的RFA後の再発診断におけるEOB-MRIと造影CTの多施設共同前向き比較試験で,EOB-MRIが造影CTより再発診断能が高く,より早期に再発を検出しうる結果を得ている.

EOB・プリモビストを用いた腹部MRI検査の方法

手順とSequence Parameter

手順とSequence Parameter

造影剤の投与方法

造影剤の投与方法

参考:造影CT検査(標準的なプロトコール)

参考:造影CT検査(標準的なプロトコール)

Case Presentation 1

症例背景とMRI検査の目的

70歳代 男性 
C型肝硬変の症例.ペグインターフェロン・リバビリン療法無効例で,S5に肝細胞癌を発症した.高齢で,本人の希望もありRFA治療を施行した.その後3か月毎のEOB-MRIでフォロー中であった.

EOB-MRI所見

EOB-MRI所見

造影前のT1強調画像(a)で淡い低信号,動脈相(b)ではやや淡い早期濃染像を示した.門脈相(c)で淡い低信号,さらに肝細胞造影相(e)では径15mmの明瞭な低信号を示し,典型的な多血性肝細胞癌であった.呼吸同期T2強調画像(f)では淡い高信号を示した.T1強調画像in-phase(g)で淡い低信号,out of phase(h)でさらに信号は低下し脂肪の存在が示唆された.

造影CT所見

造影CT所見

EOB-MRIで診断した後に撮像した造影CT(i, j, k)では本病変は検出しえなかった.

造影US所見

造影US所見

Sonazoid造影USでは動脈相における淡い早期濃染像(画像非提示)と高音圧照射のKupffer相(l)でdefectを示し,多血性肝細胞癌と診断した.

本症例におけるEOB-MRI診断結果の有用性

本症例はEOB-MRI動脈相では淡い高信号(早期濃染)であったが,肝細胞造影相で明瞭な低信号を示し,EOB-MRIでの肝細胞癌の診断は容易であった.一方,造影CTでは動脈相,門脈相,平衡相いずれにおいても明らかな腫瘍性病変は検出しえなかった.BモードUSにてやや描出不良であったため,EOB-MRI肝細胞造影相をreference画像にしてナビゲーションシステムを用いたfusion image下RFAを施行した.また治療効果判定も治療前後のEOB-MRIをfusionさせて行った(Makino et al. AbdomImaging. 2015).このようにEOB-MRIは,RFA後の再発診断のみならず,fusion image下RFAの治療支援,治療効果判定にも有用である.

Case Presentation 2

症例背景とMRI検査の目的

60歳代 男性 
C型肝硬変にて近医より当科に紹介された.初診時にS7に肝細胞癌が発見され,本人の強い希望でRFA治療を施行した.その1年後に施行した造影CTにてS7のRFA治療部位に接して,動脈相で淡い染まりが見られたが,肝細胞癌の診断にはいたらず,EOB-MRIを施行した.

EOB-MRI所見

EOB-MRI所見

造影前のT1強調画像(a)で前回治療部位は高信号を呈した.動脈相(b)では治療部位に接して明瞭な早期濃染像を示す微小病変を検出した.門脈相(c),後期相(d)では病変は明らかでなく,肝細胞造影相(e, f)で前回RFAの治療痕の低信号域に接して径9mm大の明瞭な低信号を示した.以上の所見より,RFA後の局所再発と診断した.

造影CT所見

造影CT所見

動脈相(g)で非常に淡い染まりが見られたが,門脈相(h),平衡相(i)では,前回RFA域に相当する淡い低吸収を認めるのみで腫瘍性病変の診断には至らなかった.

血管造影下CT所見

血管造影下CT所見

CTHA(j)で前回RFA治療域に接して明瞭な高吸収,CTAP(k)では前回RFA治療域に接して低吸収が認められ,EOB-MRIの所見とよく一致し,肝細胞癌のRFA後局所再発と診断した.

本症例におけるEOB-MRI診断結果の有用性

RFA後局所再発の早期診断にEOB-MRIが有用であった症例である.RFAの治療痕は造影前T1強調画像で高信号を呈することが多く,RFA治療後の診断は比較的容易である.今回の症例では,非常に小さいながらもEOB-MRI動脈相での早期濃染像が明瞭で,それに対応したEOB-MRI肝細胞造影相での低信号所見が認められ局所再発と診断した.CTHA,CTAPでも典型的な再発所見でEOB-MRI所見と極めてよく一致した.一方,造影CTでは動脈相で淡い染まりが認められたが,washoutが認められず腫瘍性病変とも断定できなかった.小さい肝細胞癌では造影CTでwashoutが明らかでないことはよく経験し,一方EOB-MRIでは肝細胞造影相の低信号所見の診断的価値が高いことが多くの施設から報告されており,本症例もそのような症例と考えられた.なお,本症例は,TACEを施行後,人口胸腹水下RFAを施行した.

使用上の注意

4.
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので, 患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること.

副作用(承認時)

総症例1,755例中76例(4.33%)に副作用が認められた. 主な副作用は, 血管拡張(熱感, 潮紅)16例(0.91%), 悪心12例(0.68%), 味覚倒錯9例(0.51%),頭痛8例(0.46%)等であった. (承認時:国内及び海外臨床試験の合計)