単純結節周囲増殖型肝細胞癌

久留米大学
内科学講座 消化器内科部門
住江 修治先生, 黒松 亮子先生, 佐田 通夫先生

ご紹介する症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能・効果、用法・用量、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意につきましては、添付文書をご参照ください。

症例背景とMRI検査の目的

70歳代 男性.
近医にてC型慢性肝炎で経過観察中, AFPの上昇及び腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘され, 精査加療目的にて当院紹介受診.
腫瘍肉眼型を含めた精査及び治療方針決定目的にて, ペルフルブタン造影超音波検査, ダイナミックCT, EOB・プリモビスト造影 MRIが行われた.

撮像パラメーターと造影剤の投与方法

手順とSequence Parameter

手順とSequence Parameter

造影剤の投与方法

造影剤の投与方法

留意点・補足

  • EOB・プリモビストは自動注入器を用いて左記投与量, 投与速度で投与している.

参考:本症例のCT検査(造影CT)

参考:本症例のCT検査(造影CT)

参考:本症例の造影超音波検査

参考:本症例の造影超音波検査

画像所見

CT所見

造影超音波所見

MRI画像所見

治療経過

術前画像により肝S8の20mm大の肝細胞癌と診断し, 腫瘍肉眼型も単純結節周囲増殖型であり, 腫瘍悪性度が高いことが予測されたため外科的切除(中央2区域切除)が施行された.

病理所見

病理所見

肉眼的に単純結節周囲増殖型であった(. j)病理診断は中分化型肝細胞癌で, 病理学的門脈侵襲や周囲肝組織への肝内転移を合併していた.

病理所見

まとめ;
EOB・プリモビスト造影MRIの肝細胞造影相は、腫瘍と周囲肝実質の境界が明瞭に描出されることが多く、腫瘍肉眼型予測に有用な検査であると思われる

肝細胞癌における病理学的脈管侵襲は, 腫瘍悪性度(再発及び予後)に関連する重要な危険因子として知られている. しかし, 画像的に検出することは困難なため, 治療前に病理学的脈管侵襲の有無を予測することは難しい. 我々は, 肝細胞癌における腫瘍肉眼型が病理学的脈管侵襲と強い関連性を示すことから, 治療方針を決定する上で, 治療前画像による肉眼型予測の重要性を示してきた1)。

1) Sumie S, et al. Ann Surg Oncol. 2008 May;15(5):1375-82.

結節型肝細胞癌の腫瘍肉眼型は, 1)境界不明瞭型, 2)単純結節型, 3)単純結節周囲増殖型, 4)多結節癒合型に亜分類されており, 3)4)を示す肝細胞癌は病理学的脈管侵襲や肝内転移と強い相関を示すことから, 可能な限り治療前画像により予測し, 根治的な外科的切除が望まれる.

腫瘍肉眼型を評価する上で, CTでは腫瘍周囲の血流異常や組織分化度によって, 造影超音波検査では体型, 結節の部位, 組織分化度によって肉眼型予測が困難な場合がある.

EOB・プリモビスト造影MRIの肝細胞造影相は, 腫瘍と周囲肝実質との境界が組織分化度に関わらず明瞭に描出されることが多く, CTや造影超音波における欠点を補うことが可能であるため, 腫瘍肉眼型を予測する上で有用な検査であると思われる.

副作用(承認時)

総症例1,755例中76例(4.33%)に副作用が認められた. 主な副作用は, 血管拡張(熱感, 潮紅)16例(0.91%), 悪心12例(0.68%), 味覚倒錯9例(0.51%), 頭痛8例(0.46%)等であった.( 承認時:国内及び海外臨床試験の合計)

使用上の注意

4.
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので, 患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること.